映画『全領域異常解決室』の2作目に、最高神・天照大御神(あまてらすおおみかみ)が登場することが発表されました。
天照大御神は日本神話を代表する神ですが、名前は知っていても、「どのような神なのか」「興玉や小夢とどのような関係があるのか」までは分からない方も多いのではないでしょうか。
ドラマの興玉雅(おきたま・みやび)は、かつて月読命(つくよみのみこと)だった神です。一方、雨野小夢(あまの・こゆめ)の正体である天宇受売命(あめのうずめのみこと)は、天照大御神を天岩戸(あまのいわと)から外へ導いたことで知られています。
つまり、天照大御神は映画で突然追加されるだけの神ではありません。興玉と小夢、双方の神話に深く関わる存在です。
この記事では、天照大御神がどのような神なのか、月読命や天宇受売命とどのような関係があるのかを解説します。後半では、神話を踏まえて映画版で注目したいポイントも考察します。
※映画の展開に関する部分は、2026年9月1日時点の公式発表と日本神話をもとにした考察です。
天照大御神は映画2作目に登場
映画『全領域異常解決室』は、2027年春に2作連続で公開されます。
1作目はドラマ最終回から2年後を舞台に、各地で起こる謎の立てこもり事件を描きます。別々の道を歩み始めた興玉と小夢が事件を通じて再会し、二人の絆が試されます。
2作目では、神々が宿る古の都・京都で、謎の組織によるテロ行為が発生。人間の世界と神々の世界の調和が崩れ始める中、天照大御神が登場します。
現時点では、天照大御神を演じるキャスト、現代で使っている人物名、味方か敵かは発表されていません。興玉たちと初めて出会うのか、以前から存在を知っているのかも不明です。
天照大御神はどんな神?
天照大御神は、太陽の光を象徴し、高天原(たかまがはら)を治める神です。高天原とは、『古事記(こじき)』などの日本神話に登場する、天津神(あまつかみ)が暮らす天上の世界を指します。
伊勢神宮の内宮(ないくう)にあたる皇大神宮(こうたいじんぐう)の御祭神としても知られています。日本神話の中心に位置し、一般に最高神と呼ばれる存在です。
天照大御神の主な特徴をまとめると、次のようになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 読み方 | あまてらすおおみかみ |
| 象徴 | 太陽、光、秩序 |
| 治める場所 | 高天原 |
| 親神 | 伊邪那岐命 |
| 兄弟神 | 月読命、須佐之男命 |
| 有名な神話 | 天岩戸、天孫降臨 |
| 主な祭祀 | 伊勢神宮・内宮 |
天照大御神は、単に太陽を照らす神ではありません。その光が失われると世界の秩序まで崩れる物語が残されており、生命や農耕、社会の安定を支える存在として描かれています。
映画2作目のあらすじには「人間の世界と神々の世界の調和も崩れ始める」とあります。光と秩序を象徴する天照大御神の登場は、この危機と直接結びつく可能性があります。
天照大御神はどのように生まれた?
『古事記』では、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が黄泉の国から戻り、穢れを落とすために禊(みそぎ)をした際、三柱の重要な神が生まれます。
- 左目を洗うと、天照大御神が誕生
- 右目を洗うと、月読命が誕生
- 鼻を洗うと、建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)が誕生
この三柱は三貴子(みはしらのうずのみこ)と呼ばれます。
伊邪那岐命は、天照大御神に高天原、月読命に夜之食国(よるのおすくに)、須佐之男命に海原を治めるよう命じました。
太陽と月が左右の目から生まれたことからも、天照大御神と月読命が対になる存在として扱われていることが分かります。
天照大御神と興玉の関係
ドラマの興玉は現在、興玉神(おきたまのかみ)として生きています。しかし、そのさらに前には月読命でした。
月読命は、天照大御神と同じく伊邪那岐命から生まれた三貴子の一柱です。一般には、天照大御神の弟神と説明されます。伊勢神宮でも、月読尊(つきよみのみこと)は天照大御神の弟神で、月の満ち欠けを示し、暦をつかさどる神とされています。
神話上の関係をドラマの登場人物へ当てはめると、次のようになります。
| 神話上の神 | ドラマの人物 | 関係 |
|---|---|---|
| 天照大御神 | 映画で登場予定 | 太陽と高天原を治める最高神 |
| 月読命 | 興玉雅の過去の姿 | 天照大御神の弟神 |
| 須佐之男命 | ドラマ・映画での登場は未発表 | 天照大御神と月読命の兄弟神 |
映画で興玉と天照大御神が会えば、単なる全決メンバーと新しい神の対面ではなく、悠久の時を越えた姉弟神の再会になる可能性があります。
ただし、ドラマ独自の転生設定では、神は生まれ変わるたびに異なる名前や姿を持つことがあります。現在の天照大御神が、かつての月読命だった興玉をどのように認識するのかは分かりません。
興玉も天照大御神を「姉」として接するのか、最高神として敬うのか、それとも過去に何らかの対立があったのか。この関係は映画の大きな見どころになりそうです。
『古事記』では月読命の物語が少ない
天照大御神と須佐之男命には多くの物語がありますが、『古事記』の月読命は、誕生して夜の国を治めるよう命じられた後、ほとんど登場しません。
一方、『日本書紀(にほんしょき)』の一書には、月読尊が保食神(うけもちのかみ)を訪ねる物語があります。
保食神が口から食べ物を出してもてなしたことに月読尊が怒り、保食神を殺してしまいます。これを知った天照大御神は月読尊を嫌い、「二度と会いたくない」という趣旨の言葉を述べました。その結果、太陽と月は昼と夜に分かれて現れるようになったとされています。
この物語をもとにすると、天照大御神と月読命は、同じ親から生まれた近い存在でありながら、決裂して離れた姉弟でもあります。
ただし、この保食神の物語は『古事記』にはなく、『日本書紀』の異伝に記されたものです。すべての神話で共通する設定ではありません。
映画がこの伝説を取り入れるなら、天照大御神と興玉の間に緊張やわだかまりが描かれる可能性があります。しかし、現在のところ映画が保食神の伝説を扱うという発表はありません。
天照大御神と小夢の関係
小夢の正体である天宇受売命は、天照大御神の天岩戸神話で重要な役割を果たした神です。
天照大御神の弟神・須佐之男命が高天原で乱暴を働いたため、天照大御神は天岩戸に隠れてしまいました。太陽神が姿を消したことで、世界は闇に包まれ、さまざまな災いが起こります。
困った八百万(やおよろず)の神々は、天照大御神を外へ出す方法を相談しました。そこで活躍したのが天宇受売命です。
天宇受売命が岩戸の前で踊ると、集まった神々が大きく笑いました。外の楽しそうな声を不思議に思った天照大御神が岩戸を少し開けると、鏡に自分の姿が映ります。天照大御神がさらに外をのぞいたところを天手力男神(あめのたぢからおのかみ)が引き出し、世界に光が戻りました。
天宇受売命は腕力で岩戸を開いたわけではありません。踊りと笑いによって場の空気を変え、閉じこもった天照大御神が自ら外を見たくなる状況を作りました。
そのため、芸能や舞踊の神として知られるだけでなく、停滞した世界を動かし、光を取り戻すきっかけを作る神ともいえます。
小夢の記憶喪失と天岩戸は重なる?
ドラマ最終回で、小夢は言度渡し(ことどわたし)を受け、天宇受売命としての記憶と神通力(じんつうりき)を失いました。
現在の小夢は神としての自分を閉ざされ、興玉との長い記憶も思い出せない状態です。これは天照大御神が岩戸の内側へ隠れ、外の世界とのつながりを断った神話と、どこか重なります。
映画では天宇受売命だった小夢が、かつて外へ導いた天照大御神と再会する可能性があります。今度は反対に、天照大御神が小夢の閉ざされた記憶を開く役割を担うのかもしれません。
また、小夢が天照大御神を救うために再び踊ることで、神としての記憶を取り戻す展開も考えられます。
ただし、「天照大御神が小夢の記憶を戻す」「小夢が映画で踊る」といった展開は発表されていません。神話とドラマの設定から考えられる予想の一つです。
天岩戸神話で活躍した神々
天岩戸の場面では、天宇受売命以外にも多くの神が協力しました。ドラマや映画に関係しそうな神を整理します。
| 神の名前 | 天岩戸での役割 |
|---|---|
| 天宇受売命(あめのうずめのみこと) | 岩戸の前で踊り、神々の笑いを起こす |
| 天手力男神(あめのたぢからおのかみ) | 岩戸から天照大御神を引き出す |
| 天児屋命(あめのこやねのみこと) | 祝詞を唱える |
| 布刀玉命(ふとだまのみこと) | 鏡や勾玉をつけた榊を持つ |
| 伊斯許理度売命(いしこりどめのみこと) | 八咫鏡を作る |
| 玉祖命(たまのおやのみこと) | 勾玉を作る |
ドラマでは、興玉が過去に天石戸別神(あめのいわとわけのかみ)だったことも明かされました。天石戸別神は一般に門や境界を守る神とされ、その名に「天石戸」が含まれます。
作品では、月読命だった興玉が天石戸別神へ生まれ変わり、小夢である天宇受売命を守って命を落としました。天岩戸に関係する神名を持つ興玉と、天岩戸で踊った小夢が長く行動を共にしてきたことは、二人の関係を象徴する設定と考えられます。
映画で天照大御神が登場すれば、興玉の「月読命」と「天石戸別神」という二つの過去が、同時に物語へ関わる可能性があります。
天照大御神が隠れると世界はどうなる?
天岩戸神話では、天照大御神が隠れると高天原も地上も暗くなり、災いが次々と起こりました。
映画2作目では、謎の組織によるテロをきっかけに、人間の世界と神々の世界の調和が崩れ始めます。
この二つを重ねると、映画では天照大御神の力が失われる、封じられる、あるいは本人が再び姿を隠すことで、世界規模の異変が起こる可能性があります。
ドラマでは、神が人間に殺されると約百年は生まれ変われないと説明されました。もし最高神である天照大御神が人間に狙われれば、ほかの神を失う以上に大きな影響が出るでしょう。
謎の組織の目的が天照大御神の排除なのか、力の利用なのか、天岩戸神話の再現なのかは分かりません。しかし、「最高神の登場」と「世界の調和が崩れる危機」が同時に発表されている以上、天照大御神が事件の中心になる可能性は高そうです。
天照大御神は味方?それとも敵?
日本神話での立場だけを考えれば、天照大御神は秩序を守る側の神です。しかし、映画でも最初から興玉たちの味方になるとは限りません。
ドラマ『全領域異常解決室』では、神だから善、人間だから悪という単純な分け方はされていません。人間を守ろうとする神がいる一方、人間の成長を妨げているとして神を否定する直毘吉道(なおび・よしみち)もいました。
天照大御神が人間界と神々の世界の調和を守るため、個人の犠牲を必要とする判断を下す可能性もあります。そのとき、人間に寄り添ってきた興玉や小夢が、最高神の決定に反対する展開も考えられます。
また、『日本書紀』の月読尊との決裂を取り入れるなら、天照大御神は興玉に厳しい態度を取るかもしれません。
現時点で分かっているのは、天照大御神が登場するということだけです。味方・敵・事件の被害者など、その役割は未発表です。
映画で注目したい5つのポイント
天照大御神の神話を踏まえると、映画では次の点に注目です。
1.興玉を月読命として覚えているか
天照大御神が興玉の過去を知っているなら、月読命だった時代の出来事が新たに明かされる可能性があります。
2.小夢の記憶を取り戻す鍵になるか
天宇受売命と深い縁を持つ天照大御神が、小夢の神としての記憶に影響を与えるのかが重要です。
3.天岩戸が再現されるか
天照大御神が封じられ、世界から光が失われるような異常現象が起こるのか注目されます。
4.須佐之男命も登場するか
天岩戸神話の原因を作った須佐之男命は、天照大御神と月読命の兄弟神です。ただし、映画への登場は発表されていません。
5.最高神と全決の方針が一致するか
天照大御神が考える「秩序」と、人間の近くで事件を解決してきた興玉たちの考えが同じとは限りません。
まとめ
映画『全領域異常解決室』に登場する天照大御神は、太陽と光を象徴し、高天原を治める日本神話の最高神です。
興玉の過去の姿である月読命は、天照大御神の弟神にあたります。『日本書紀』の一書では、保食神をめぐる事件によって二柱が決裂し、太陽と月が昼夜に分かれたという物語も残されています。
小夢の正体である天宇受売命は、天岩戸に隠れた天照大御神を外へ導くきっかけを作った神です。踊りと笑いで世界に光を取り戻した伝説は、神としての記憶を失った小夢の物語にもつながる可能性があります。
天照大御神は、興玉にとってはかつての姉神であり、小夢にとってはかつて救い出した神です。そのため、映画での登場は二人の過去と現在を結び直す大きな転機になりそうです。
天照大御神の配役や現代での人物名、味方か敵かはまだ発表されていません。今後のキャスト発表や予告映像では、太陽、鏡、岩戸、踊りといった神話のモチーフにも注目してみてください。