映画『ロード・オブ・ザ・リング ゴラムを追え』のガンダルフはなぜ灰色?新作の時系列

映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの新作『The Lord of the Rings: The Hunt for Gollum』で、イアン・マッケラン演じるガンダルフの姿が公開されました。

そこで気になるのが、ガンダルフの衣装が白ではなく、三部作第1作『旅の仲間』で見せた灰色の姿であることです。

結論からいうと、新作はガンダルフがモリアでバルログと戦い、「白のガンダルフ」として戻ってくる前の物語です。時系列は単純な三部作の前ではなく、『旅の仲間』の物語が始まってから一行がモリアへ入るまでの間に置かれます。

この記事では、新作映画の時系列、ガンダルフが灰色である理由、ゴラムを追う必要があった理由を、原作小説とピーター・ジャクソン版映画の違いも含めて整理します。

※『ロード・オブ・ザ・リング ゴラムを追え』は、原題を基にした本記事での表記です。2026年9月19日時点で、日本の正式タイトルは発表されていません。

ガンダルフが灰色なのは白になる前の物語だから

新作のガンダルフが灰色なのは、衣装の変更や若返った別人という意味ではありません。

『旅の仲間』でモリアへ入る前のガンダルフは、「灰色のガンダルフ」と呼ばれていました。モリアの橋でバルログと戦って奈落へ落ち、死を経て使命を果たすために送り返された後、『二つの塔』で「白のガンダルフ」として仲間の前に現れます。

つまり、ガンダルフの色は時系列を見分ける手がかりです。

  • 灰色のガンダルフなら、モリアのバルログ戦より前
  • 白のガンダルフなら、バルログ戦と復活より後

新作では、ガンダルフがアラゴルンにゴラムの捜索を依頼する時期が描かれるため、灰色の姿で登場するのが自然です。2026年9月18日に報じられた撮影準備中の映像でも、マッケランはおなじみの灰色の衣装を身につけています。

新作映画は『旅の仲間』の途中に入る

脚本・製作を担当するフィリッパ・ボウエンは、新作がビルボの誕生日祝いの後から、モリアの坑道へ入る前までの時期を扱うと説明しています。

大まかな位置関係は次のとおりです。

順番出来事ガンダルフの姿
1ビルボが111歳の誕生日を祝い、指輪をフロドへ残す灰色
2ガンダルフが指輪の正体を調査する灰色
3ガンダルフがアラゴルンにゴラムの捜索を頼む灰色
4フロドたちが裂け谷を出発する灰色
5モリアでガンダルフがバルログと戦う灰色
6ガンダルフが使命を帯びて戻る

そのため、新作は『ホビット』と『ロード・オブ・ザ・リング』の間を描く作品と紹介されることがありますが、それだけでは正確ではありません。

物語の起点となるビルボの誕生日は、すでに『旅の仲間』の冒頭で描かれています。より正確にいうなら、『旅の仲間』の中で大幅に省略された出来事を広げる映画です。

原作には17年の空白がある

原作小説では、ビルボの111歳の誕生日は第三紀3001年。フロドが指輪を持ってホビット庄を出発するのは第三紀3018年で、その間には約17年があります。

ガンダルフはこの期間に各地を調べ、ビルボが持ち帰った指輪が「一つの指輪」ではないかという疑いを深めていきました。アラゴルンもゴラムを長期間追跡し、ついには死者の沼地で捕らえています。

一方、ピーター・ジャクソン監督の映画『旅の仲間』では、ビルボの誕生日からフロドの旅立ちまでに17年が経過したことは明確に描かれていません。映像上は、比較的短い期間に見える構成です。

新作映画が原作の17年間をそのまま採用するのか、従来の映画版に合わせて短い期間として描くのかは、現時点では発表されていません。

したがって、「新作によって映画版にも17年の空白が正式に追加される」と断定することはできません。分かっているのは、ビルボの誕生日後からモリア以前の出来事を扱うという範囲です。

なぜガンダルフはゴラムを捜したのか

ゴラム捜索の目的は、危険人物を捕まえることだけではありません。ガンダルフは、ビルボの指輪の正体を突き止めるため、かつての所有者であるゴラムから情報を得ようとしていました。

ゴラムは、ビルボに指輪を奪われたと思い込み、「バギンズ」と「ホビット庄」という言葉を覚えていました。やがてサウロンの手下に捕らえられ、拷問を受けた末に、この二つの言葉を漏らしてしまいます。

これは、サウロンが指輪の行方をホビット庄へ絞り込む重要な手掛かりになりました。

ガンダルフにとってゴラムを見つける意味は、大きく分けて三つあります。

  1. ビルボが指輪を手に入れた経緯を確認する
  2. 指輪がゴラムの心身へ与えた影響を調べる
  3. サウロンが指輪の所在をどこまで知ったのかを確かめる

アラゴルンはガンダルフの依頼を受けてゴラムを追い、捕獲後は闇の森のエルフに預けました。しかしゴラムは後に逃亡し、フロドたちの旅へ再び関わっていきます。

原作に『ゴラムを追え』という一冊があるわけではない

『The Hunt for Gollum』という題名の原作小説はありません。

ゴラム捜索については、『旅の仲間』の「過去の影」と「エルロンドの会議」などで、ガンダルフやアラゴルンが過去の出来事として語っています。年表や補足設定にも記録されていますが、旅の全行程を一つの冒険物語として詳しく描いた章ではありません。

新作映画は、トールキンが残した結果と証言を土台に、画面では描かれていなかった過程をドラマ化する作品になります。

そのため、原作で確認できる次の骨格は維持される可能性が高いでしょう。

  • ガンダルフが指輪の正体を疑う
  • アラゴルンがゴラムを追跡する
  • ゴラムがサウロン側に捕らえられる
  • アラゴルンがゴラムを捕獲する
  • ゴラムが闇の森のエルフに預けられる

ただし、道中の敵、同行者、戦闘、会話などは原作に詳しい記述がありません。映画独自の人物や出来事が加わる可能性はありますが、正式発表前に内容を断定することはできません。

白のガンダルフになるのは『二つの塔』から

ガンダルフが白へ変わるきっかけは、モリアでのバルログとの戦いです。

一行を逃がすため「カザド=ドゥームの橋」に残ったガンダルフは、バルログとともに奈落へ落下。その後も戦いを続け、相手を倒しますが、自身も命を落とします。

しかし中つ国での役目が終わっていなかったため、ガンダルフは以前より強い権限を持つ存在として送り返されました。堕落したサルマンに代わる白の魔法使いとなり、『二つの塔』でアラゴルン、レゴラス、ギムリと再会します。

新作はこの出来事より前なので、白い衣装で登場すると、むしろ従来の物語と矛盾します。今回の灰色の衣装は、新作が旧三部作と同じ時間軸を意識していることを示す視覚的なサインと考えられます。

『力の指輪』とは時代も世界線も異なる

Amazonのドラマ『ロード・オブ・ザ・リング 力の指輪』と、新作映画『The Hunt for Gollum』は同じ中つ国を題材にしていますが、直接つながるシリーズではありません。

『力の指輪』の中心は、サウロンが勢力を広げ、力の指輪が作られていく第二紀です。『The Hunt for Gollum』は、それから数千年後となる第三紀末の出来事を扱います。

また、新作にはピーター・ジャクソン、フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエンら映画六部作の制作陣が参加し、ゴラム役のアンディ・サーキスが監督と主演を務めます。Amazon版ドラマの前日譚ではなく、ジャクソン版映画シリーズ側の新章です。

現時点で確定していることと未発表のこと

2026年9月19日時点で、確認できる情報は次のとおりです。

確定していること

  • 原題は『The Lord of the Rings: The Hunt for Gollum』
  • アンディ・サーキスが監督を務め、ゴラムを再演する
  • ピーター・ジャクソン、フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエンが製作に参加する
  • イアン・マッケランが灰色のガンダルフとして撮影準備に入っている
  • ビルボの誕生日後からモリア以前の時期を扱う
  • 米国劇場公開は2027年12月17日の予定

まだ断定できないこと

  • 日本での正式タイトルと公開日
  • 原作の17年間を映画版でどの程度採用するか
  • ゴラム捜索のどの範囲までを描くか
  • 原作にない登場人物や事件の内容
  • フロドら旧キャラクターが物語へどのように関わるか

出演者本人の発言や海外報道は出ていますが、スタジオから役柄や登場方法が正式発表されていない情報もあります。カメオ出演、回想、若返り技術の使い方などは、公式発表を待つ必要があります。

灰色の姿は新作の時系列を示している

『The Hunt for Gollum』のガンダルフが灰色なのは、新作が『旅の仲間』のモリア以前を描くからです。

原作では、ビルボの誕生日からフロドの旅立ちまで約17年があり、その間にガンダルフの指輪調査とアラゴルンのゴラム捜索が進みました。新作は、旧映画でほとんど映像化されなかったこの部分を広げる作品になります。

したがって位置づけは、「旧三部作より前の新しい前日譚」というより、『旅の仲間』の冒頭と本格的な旅立ちの間に隠れていた物語と考えるのが最も分かりやすいでしょう。

参考情報