青崎有吾さんの小説『地雷グリコ』について、以前から読者の間で疑問視されているのが「15段目の地雷」です。
作中では、主人公の射守矢真兎(いもりや・まと)が15段目に仕掛けられた地雷を回避したことになっています。
しかし、ゲームのルールとじゃんけんの組み合わせを検証すると、
相手がチョキを出し続けた場合、15段目を回避できないのでは?
という疑問が生じます。
Prime Videoで実写ドラマ化されることから、この場面が映像でどのように描かれるのかも注目されそうです。
この記事では、なぜ15段目の地雷が「矛盾している」「おかしい」といわれるのか、ゲームのルールをもとに検証します。
※この記事には、原作第1話「地雷グリコ」のゲーム展開に関するネタバレが含まれます。
最初に結論をまとめると、原作では、真兎が15段目の地雷を具体的にどう回避したのかは描かれていません。
15段目付近で苦戦しながらも被弾を回避したことが説明され、その間のじゃんけんは省略されています。
しかし、作中で示されたルールだけを使って検証すると、地雷を仕掛けた椚迅人(くぬぎ・はやと)が適切な手を出し続ける限り、真兎は15段目を避けて先へ進めません。
考えられるのは、次のいずれかです。
- 省略された勝負の中で椚が別の手を出した
- 椚が意図的に真兎を通過させた
- 作中で説明されていない条件があった
- ルール設計または描写上の見落としだった
原作や公式から明確な回避方法が示されているわけではないため、「真兎はこの方法で回避した」と断定することはできません。
地雷グリコの基本ルール
「地雷グリコ」は、じゃんけんをして階段を進む遊び「グリコ」に、地雷の要素を加えたゲームです。
原作の勝負では、46段ある階段を使います。
それぞれのプレイヤーが、相手には見えないように3か所の地雷を設定。相手が地雷のある段へ止まると「被弾」となり、10段後退します。
じゃんけんに勝ったときに進める段数は、通常のグリコと同じです。
| 勝った手 | 進む段数 |
|---|---|
| グー | 3段 |
| チョキ | 6段 |
| パー | 6段 |
先に46段目を越えたプレイヤーが勝者です。
作品の面白さは、自分の地雷へ相手を誘導しながら、相手が仕掛けた地雷の位置を推理するところにあります。
なぜ15段目の地雷が問題になるのか
グーで勝つと3段、チョキまたはパーで勝つと6段進むため、被弾するまでは3の倍数の段にしか止まりません。
スタート地点を0段目とすると、停止する可能性があるのは次のような段です。
3段目、6段目、9段目、12段目、15段目、18段目……
つまり、15段目はプレイヤーが通常の勝利によって止まる可能性が高く、地雷の設置場所として有効です。
真兎が15段目を避けるには、12段目から一度に6段進み、18段目へ移動する必要があります。
ところが、相手の椚がチョキを出し続けると、真兎は15段目を飛び越えられません。
真兎が12段目にいる場合を検証
真兎が12段目、椚がそれより前方にいると仮定します。
15段目には、椚が真兎を狙って仕掛けた地雷があります。
真兎が地雷を避けるには、チョキまたはパーで勝って、12段目から18段目へ進まなければなりません。
しかし、椚がチョキを出す場合、結果は次のようになります。
| 真兎の手 | 椚の手 | 結果 |
|---|---|---|
| グー | チョキ | 真兎が勝って3段進み、15段目で被弾 |
| チョキ | チョキ | あいこで双方とも進まない |
| パー | チョキ | 真兎が負け、椚が6段進む |
真兎には、15段目を飛び越えて18段目へ進める手がありません。
グーなら勝てますが、ちょうど15段目に止まってしまいます。チョキはあいこ、パーでは負けです。
真兎が何度あいこを続けても、椚がチョキから手を変えなければ状況は変わりません。
9段目からでも完全には解決しない
真兎が9段目にいる段階から考えてみましょう。
15段目を飛び越えるには、本来なら9段目から6段進んでも足りません。6段進むと、ちょうど地雷がある15段目に止まります。
まずグーで勝って12段目へ進み、次に6段進んで18段目へ移動する必要があります。
椚がチョキを出し続けた場合、真兎はグーで勝って9段目から12段目へ進めます。しかし、次のじゃんけんでも椚がチョキを出すと、先ほどと同じ状態になります。
- グーで勝つと15段目で被弾
- チョキではあいこ
- パーでは負ける
そのため、9段目から12段目までは進めても、そこから先へは安全に進めません。
椚がチョキを出し続ければ本当に勝てる?
15段目の地雷を踏ませることだけを目的にするなら、椚がチョキを出し続ける戦い方は有効です。
ただし、これだけで椚の勝利が確定するとは限りません。
真兎がチョキを出し続ければ、あいこが続いてゲームが進まなくなる可能性があるからです。
また、椚自身にも真兎の仕掛けた地雷を避ける必要があります。自身の位置やゴールまでの残り段数によっては、チョキ以外の手を出す理由が生まれるかもしれません。
それでも、少なくとも15段目の直前にいる真兎へ安全な通過を許さないという点では、チョキを維持するのが合理的です。
椚が先行しているなら、真兎があいこを続けるほど時間を稼がれて困るというルールも示されていません。
したがって、椚が自ら手を変えない限り、真兎は15段目を回避できないと考えられます。
原作では15段目をどう描いている?
原作では、真兎が15段目付近で苦戦したものの、なんとか被弾を避けたことが示されています。
しかし、その間に両者が何を出し、どのような順番で段を進んだのかは詳しく描かれていません。
この省略によって、読者には次の疑問が残ります。
- 真兎は12段目から何を出して18段目へ進んだのか
- 椚はなぜチョキを出し続けなかったのか
- 椚が手を変える必要のある別条件が存在したのか
- 真兎は相手の手を変えさせる仕掛けを使ったのか
具体的な手順がない以上、本文だけから回避方法を再現することは困難です。
実際に、刊行後から複数の読者が「15段目をどうやって回避したのか」と疑問を示しています。
ルールの矛盾なのか?
15段目の問題については、単純に「原作が間違っている」と断定するより、2つの可能性に分けて考える必要があります。
省略された場面で椚が別の手を出した可能性
じゃんけんの途中経過が省略されているため、椚が何らかの理由でグーやパーを出し、真兎が6段進める状況が生まれた可能性はあります。
たとえば、椚がグーを出し、真兎がパーで勝てば、12段目から18段目へ進んで地雷を飛び越えられます。
したがって、物理的に回避が絶対不可能というわけではありません。
問題は、椚がなぜ真兎を通過させる手を選んだのかが説明されていないことです。
相手を15段目で被弾させたい椚にとって、チョキ以外を選ぶ明確な利点が見当たりません。
作者側の見落としだった可能性
もう一つは、ゲームを構成する段階で、チョキを出し続ければ15段目への到達を強制できることが見落とされていた可能性です。
『地雷グリコ』では、複数のルールや心理的な誘導が組み合わされています。そのため、個々のじゃんけんをすべて検証すると、作者の想定とは異なる戦略が成立することもあり得ます。
ただし、作者や出版社が15段目について正式に「ミスだった」と認めた事実は、現在確認できません。
現段階では、
省略された場面で回避自体は可能だが、椚がそれを許す合理的な理由が説明されていないため、ルール上の穴ではないかと指摘されている
と整理するのが妥当です。
「地雷グリコ」にはほかにも必勝法がある?
読者の検証では、15段目以外にも、地雷の設置場所によって相手を繰り返しスタート地点へ戻せる可能性が指摘されています。
特に話題になるのが、序盤の3段目や6段目付近へ地雷を置く方法です。
被弾すると10段後退しますが、スタート地点より前へは進めないため、早い段階の地雷を踏んだプレイヤーは0段目へ戻ると考えられます。
再び同じ地雷が有効になるなら、相手を何度も序盤へ戻す展開も成立します。
ただし、この戦略には次の問題もあります。
- 両者が同じ段へ地雷を指定した場合の処理
- 一度発動した地雷が再び作動するのか
- 同じ地雷を繰り返し踏んだ場合の扱い
- 勝負が進まなくなった場合の裁定
細部の解釈によって有効性が変わるため、「完全な必勝法」とまでは断定できません。
一方で、読者がルールを検証し、別の攻略法を考えたくなること自体が、『地雷グリコ』の楽しみ方の一つともいえます。
ドラマ版では15段目の矛盾が修正される?
Prime Originalドラマ『地雷グリコ』は、2026年11月13日からPrime Videoで世界独占配信されます。
ティザー映像には、森七菜さん演じる真兎が最初の「地雷グリコ」に挑む場面も含まれています。
映像作品では、登場人物の移動やじゃんけんの手が視覚的に示されます。小説のように「途中の攻防を省略する」という処理では、視聴者が状況を理解しにくくなる可能性があります。
ドラマ版で考えられる対応は次のとおりです。
- 15段目の地雷を別の段へ変更する
- じゃんけんで進める段数を調整する
- 同じ手を連続で出せないルールを追加する
- 椚がチョキを続けられない理由を描く
- 真兎が椚に別の手を出させる心理戦を追加する
- 問題となる途中経過を原作同様に省略する
現時点では、ドラマ版がどの方法を採用するかは明らかになっていません。
もし真兎が椚の手を変えさせる場面が追加されれば、原作で説明されなかった15段目の回避方法を補完することになります。
原作者も実写化の難しさに言及
原作者の青崎有吾さんは実写化にあたり、『地雷グリコ』について、簡単そうに見えて意外と難しいゲームであり、映像化にも見せ方の工夫が必要になるという趣旨のコメントを寄せています。
小説では登場人物の推理や思考を文章で説明できますが、映像では、
- 地雷がどこにあるのか
- それぞれが何を狙っているのか
- なぜその手を出したのか
- どの段へ移動したのか
を視聴者へ分かりやすく見せなければなりません。
15段目の問題をドラマ制作陣がどう扱うのかは、原作を読んだ人にとっても大きな注目点になりそうです。
まとめ
原作『地雷グリコ』では、真兎が15段目に仕掛けられた地雷を回避していますが、具体的なじゃんけんの流れは描かれていません。
真兎が12段目にいるとき、椚がチョキを出し続けると、
- 真兎がグーを出すと、15段目で被弾
- チョキを出すと、あいこ
- パーを出すと、真兎の負け
となります。
椚が合理的にチョキを維持する限り、真兎は15段目を安全に通過できません。
椚が別の手を出せば18段目へ進むこと自体は可能ですが、地雷を仕掛けた本人が、なぜ真兎を通過させる手を選んだのかは説明されていません。
そのため、15段目の展開は「回避そのものが絶対に不可能」というより、相手が回避を許した理由がなく、ゲーム展開に説明不足またはルール上の穴があると考えるのが適切です。
実写ドラマ版では、15段目の地雷とじゃんけんの流れを変更するのか、それとも真兎が椚の手を誘導する新たな場面を追加するのかにも注目です。