中島歩さんが、2026年9月7日深夜放送の『中島歩のオールナイトニッポン0(ZERO)』のコーナーの中で、おすすめの映画として『ファニーゲーム U.S.A.』と『ブルース・ブラザース』を挙げました。
2作品が登場したのは、リスナーの相談に合う映画を中島さんが選ぶ「映画ソムリエ」のコーナーです。
相談テーマは、思い出すと恥ずかしくなり、思わず声を出したくなるような出来事。3人の相談者のうち2人に『ファニーゲーム U.S.A.』、1人に『ブルース・ブラザース』を選びました。
片方は救いの少ない心理スリラー、もう片方は音楽とカーチェイスが続くコメディーです。一見すると正反対ですが、どちらも強い刺激で別の感情を引き出す映画です。
この記事では、2作品のあらすじ、見どころ、違い、見る前の注意点を紹介します。
中島歩がANN0で薦めた映画は2作品
中島さんが「映画ソムリエ」で選んだ映画は次の2作品です。
| 作品 | ジャンル | 特徴 |
|---|---|---|
| 『ファニーゲーム U.S.A.』 | 心理スリラー | 観客が暴力を見る行為を問い直す |
| 『ブルース・ブラザース』 | 音楽コメディー | 名曲、笑い、大規模なカーチェイスを楽しめる |
『ファニーゲーム U.S.A.』はどんな映画?
『ファニーゲーム U.S.A.』は、ミヒャエル・ハネケ監督が2007年に制作した心理スリラーです。
湖畔の別荘を訪れた一家が、白い服を着た2人の青年に襲われます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公開年 | 2007年 |
| 監督・脚本 | ミヒャエル・ハネケ |
| アン役 | ナオミ・ワッツ |
| ジョージ役 | ティム・ロス |
| ポール役 | マイケル・ピット |
| ピーター役 | ブラディ・コーベット |
| 原作にあたる作品 | 1997年版『ファニーゲーム』 |
あらすじ
ジョージとアンの夫婦は、息子のジョージーと愛犬を連れて湖畔の別荘を訪れます。
そこへ白い服を着た青年ピーターが現れ、「卵を分けてほしい」と頼みます。最初は礼儀正しく見えますが、会話は少しずつかみ合わなくなり、友人のポールも別荘へ入ってきます。
青年たちは一家を支配し、翌朝までに家族全員が死ぬかどうかを賭ける「ゲーム」を始めます。
犯人の動機は説明されない
ポールとピーターが一家を襲う理由は明かされません。
金銭目的でもなく、一家に恨みがあるわけでもありません。犯人の生い立ちや過去を説明して、行動へ理由を与える場面もありません。
観客は「なぜこんなことをするのか」という答えを得られないまま、理不尽なゲームを見せられます。
犯人の心理を理解して安心する道を断つことが、本作の不快感につながっています。
暴力を直接見せない場面が多い
本作では残酷な出来事が起きますが、決定的な瞬間を画面外で処理する場面があります。
暴力を派手な見せ場にするのではなく、音や登場人物の反応によって何が起きたかを想像させます。
監督が問題にしているのは、画面上の暴力だけではありません。観客が次の犠牲や反撃を待ち、暴力的な展開を娯楽として見ていることも作品のテーマです。
犯人が観客へ話しかける
ポールはカメラの方向を見たり、観客へ同意を求めたりします。
映画の登場人物でありながら、画面の向こう側に観客がいることを理解しているように振る舞います。
これによって観客は、一家が襲われる様子を安全な場所から見ている第三者ではいられなくなります。
作品は、観客もこの「ゲーム」が続くことを望んでいるのではないかと問いかけます。
1997年版『ファニーゲーム』との違い
『ファニーゲーム U.S.A.』は、ハネケ監督が1997年に発表した『ファニーゲーム』を自ら撮り直した作品です。
| 比較 | 1997年版 | 2007年版 |
|---|---|---|
| 舞台 | オーストリア | アメリカ |
| 言語 | ドイツ語 | 英語 |
| 母親役 | スザンネ・ロータ | ナオミ・ワッツ |
| 父親役 | ウルリッヒ・ミューエ | ティム・ロス |
| 監督 | ミヒャエル・ハネケ | ミヒャエル・ハネケ |
| 基本的な物語 | オリジナル | ほぼ同じ |
| 構図・台詞 | オリジナル | 原版を忠実に再現 |
2007年版は、物語を現代風に作り替えた一般的なリメイクではありません。構図、台詞、人物の動き、編集まで、1997年版をほぼ忠実に再現しています。
ハネケ監督は、もともとアメリカの暴力的な映像文化を意識して作品を構想していました。英語圏の俳優を起用した2007年版では、その批判を対象となる観客へ直接届けています。
『ファニーゲーム U.S.A.』を見る前の注意点
本作には、家族への暴力、監禁、脅迫、子どもや動物に関する残酷な展開があります。
次のような映画を期待している人には向いていません。
- 被害者が犯人へ反撃する
- 事件の真相や動機が明かされる
- 最後に正義が勝つ
- 恐怖の後に爽快感を得られる
- 登場人物が成長して救われる
血や傷を大量に見せるスプラッター映画とは異なりますが、精神的な負担は大きい作品です。
理不尽な展開や、救いの少ない結末が苦手な人は注意してください。
『ブルース・ブラザース』はどんな映画?
『ブルース・ブラザース』は、ジョン・ランディス監督が1980年に制作した音楽コメディーです。
黒いスーツ、黒い帽子、サングラス姿のジェイクとエルウッドの兄弟が、かつてのバンドを再結成します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公開年 | 1980年 |
| 監督 | ジョン・ランディス |
| ジェイク役 | ジョン・ベルーシ |
| エルウッド役 | ダン・エイクロイド |
| ジャンル | 音楽、コメディー、アクション |
| 舞台 | アメリカ・シカゴ |
| 物語の目的 | 孤児院を救う資金を集める |
あらすじ
物語は、刑務所に入っていたジェイクが刑期を終え、出所する場面から始まります。
ジェイクは釈放され、弟のエルウッドが刑務所まで迎えに来ます。
兄弟は、自分たちが育ったカトリック系孤児院を訪れます。孤児院は税金を納められず、閉鎖の危機にありました。
2人は孤児院を救うため、以前活動していたバンド「ブルース・ブラザーズ」を再結成し、コンサートで資金を集めようとします。
しかし、かつての仲間は別の仕事に就いており、簡単には集まりません。兄弟は各地を回りながらメンバーを呼び戻し、ライブ会場を探します。
その途中で、警察、ネオナチ集団、カントリーバンド、ジェイクの元婚約者など、さまざまな人物から追われることになります。
実在のミュージシャンが多数出演
『ブルース・ブラザース』には、アメリカ音楽を代表する歌手や演奏家が出演しています。
| 出演者 | 映画で披露する主な曲 |
|---|---|
| ジェームス・ブラウン | 「The Old Landmark」 |
| アレサ・フランクリン | 「Think」 |
| レイ・チャールズ | 「Shake a Tail Feather」 |
| ジョン・リー・フッカー | 「Boom Boom」 |
| キャブ・キャロウェイ | 「Minnie the Moocher」 |
音楽が場面を飾るだけではなく、歌唱や演奏そのものが物語の見せ場になっています。
特にアレサ・フランクリンが歌う「Think」は、バンドへ戻ろうとする夫に対して妻が考え直すよう訴える場面です。会話から自然に歌とダンスへ移る構成になっています。
カーチェイスの規模が大きい
映画後半では、ジェイクとエルウッドを大量のパトカーが追跡します。
ショッピングモール内を車で走り抜ける場面や、多数の警察車両が次々に衝突する場面など、実車を使った大規模なカーチェイスが続きます。
現実なら深刻な事故ですが、映画では物理法則まで無視するような笑いとして描かれています。
登場人物は真剣に行動しているのに、周囲の被害だけが異常な規模へ膨らんでいく点が、この映画のコメディーです。
「神の使命」でバンドを再結成
ジェイクは教会でジェームス・ブラウン演じる牧師の説教を聞き、突然ひらめきを得ます。
そこで、孤児院を救うためにバンドを再結成することを「神から与えられた使命」と考えます。
以降、兄弟は何度問題を起こしても、「俺たちは神の使命を帯びている」と言って突き進みます。
社会的には無謀な行動ですが、本人たちは最後まで真剣です。この大まじめさが、派手な騒動を笑いへ変えています。
2作品は正反対の映画
『ファニーゲーム U.S.A.』と『ブルース・ブラザース』は、同じ「激しい映画」でも、観客に与える感情は大きく異なります。
| 比較 | ファニーゲーム U.S.A. | ブルース・ブラザース |
|---|---|---|
| 主なジャンル | 心理スリラー | 音楽コメディー |
| 舞台 | 湖畔の別荘 | シカゴ各地 |
| 主人公 | 襲撃される一家 | バンドを再結成する兄弟 |
| 刺激の方向 | 恐怖、不快感、緊張 | 音楽、笑い、興奮 |
| 暴力の描き方 | 観客を不安にさせる | 誇張されたアクション |
| 鑑賞後の印象 | 重く残りやすい | 高揚感がある |
| 向いている人 | 映画表現を考察したい人 | 音楽と派手なコメディーを楽しみたい人 |
なぜ恥ずかしい思い出への回答にこの2作品を選んだ?
「映画ソムリエ」に寄せられたのは、思い出すと恥ずかしくなり、声を出したくなるような出来事についての相談でした。
中島さんは3人のうち2人に『ファニーゲーム U.S.A.』、1人に『ブルース・ブラザース』を選びました。
2作品は内容こそ正反対ですが、どちらも鑑賞者の感情を強く動かします。
『ファニーゲーム U.S.A.』を見れば、相談者は自分の失敗を考える余裕がなくなるほど、画面の出来事へ意識を向けることになります。
『ブルース・ブラザース』なら、音楽、笑い、カーチェイスの勢いで気分を切り替えられます。
恥ずかしい思い出を解決する映画というより、別の強い感情で頭の中を埋める映画を選んだと考えると、2作品の共通点が見えてきます。
どちらから見るのがおすすめ?
気軽に楽しみたい場合は、『ブルース・ブラザース』から見るのがおすすめです。
ソウルやブルースに詳しくなくても、歌、ダンス、兄弟の掛け合い、派手なカーチェイスを楽しめます。
映画の表現や、観客と暴力の関係を考えたい場合は、『ファニーゲーム U.S.A.』が向いています。ただし、精神的に重い内容なので、疲れているときや明るい作品を見たいときにはおすすめできません。
| 見たい内容 | おすすめ作品 |
|---|---|
| 笑って気分を変えたい | 『ブルース・ブラザース』 |
| 音楽映画を見たい | 『ブルース・ブラザース』 |
| 派手なカーチェイスを見たい | 『ブルース・ブラザース』 |
| 緊張感の強い映画を見たい | 『ファニーゲーム U.S.A.』 |
| 映画表現を考察したい | 『ファニーゲーム U.S.A.』 |
| 救いのない作品が苦手 | 『ファニーゲーム U.S.A.』は避ける |
まとめ
中島歩さんがANN0の「映画ソムリエ」で薦めた映画は、『ファニーゲーム U.S.A.』と『ブルース・ブラザース』です。
3人の相談者に対し、『ファニーゲーム U.S.A.』を2回、『ブルース・ブラザース』を1回選びました。
『ファニーゲーム U.S.A.』は、別荘を訪れた一家が青年たちに襲われる心理スリラーです。単に怖がらせるのではなく、暴力的な展開を求める観客自身へ問いを投げかけます。
『ブルース・ブラザース』は、刑期を終えて出所したジェイクと弟のエルウッドが、孤児院を救うためにバンドを再結成する音楽コメディーです。脱獄から始まる物語ではありません。
恐怖と不快感で圧倒する映画と、音楽と笑いで押し切る映画。方向は異なりますが、恥ずかしい記憶から意識を引き離すほど刺激が強い点は共通しています。

