マーベル作品の世界観は、一つの宇宙だけではなく、無数の宇宙からなる「マルチバース」で構成されています。それぞれの宇宙を区別するときに使われるのが「アースナンバー」です。
ただし、アースナンバーはすべての作品で完全に統一されているわけではありません。
特にMCUのメインユニバースは、Marvel Studiosの作品内では「アース616」、コミック系の資料や『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』では「アース199999」と呼ばれています。
また、2024年公開の『デッドプール&ウルヴァリン』では、20世紀フォックス版X-MEN映画の世界が「アース10005」と明示されました。一方、過去の資料では『LOGAN/ローガン』や『デッドプール2』に別の番号が割り当てられており、現在もすべての矛盾が解消されたわけではありません。
この記事では、作品本編、Marvel公式サイト、公式ガイド、公式脚本などを確認し、2026年8月時点で根拠を確認できるアースナンバーを一覧にまとめました。
情報がはっきりしない作品については、無理に番号を断定せず、注意点もあわせて紹介します。
アースナンバーとは
アースナンバーとは、マーベルのマルチバースに存在する宇宙や現実を識別するための番号です。主に「アース〇〇〇」という形式で表記されます。
同じスパイダーマンやウルヴァリンでも、所属するアースが異なれば、人物の経歴、能力、家族関係、起きた出来事などが異なる場合があります。
例えば、コミックのメインユニバースにいるピーター・パーカーと、サム・ライミ監督版『スパイダーマン』のピーター・パーカーは別人です。前者はアース616、後者はアース96283に属しています。
「ユニバース」「現実」「世界線」「時間軸」「パラレルワールド」などが近い意味で使われることもありますが、厳密には同じとは限りません。
特に、ダーク・ディメンションや量子世界、TVAの管理下にあるヴォイドなどは、別の領域や次元として描かれており、必ずしも独立した「アース」として番号が付くわけではありません。
アースナンバーの注意点
アースナンバーを確認するときは、次の点に注意が必要です。
- 作品ごとに番号の付け方が異なる場合がある
- 同じ番号が別のシリーズで使われることがある
- 時間移動によって分岐した世界の扱いが、資料によって異なる場合がある
- 作品本編で明言された番号と、後から資料で付けられた番号が一致しない場合がある
MCUではTVAやアース838のイルミナティ、スパイダーバースではスパイダー・ソサエティなど、それぞれ異なる組織がマルチバースを管理・分類しています。そのため、アースナンバーを一つの絶対的な住所として考えると、矛盾が生じることがあります。
また、海外のMarvel Databaseなどで使用される「TRN」は、「Temporary Reality Number」の略です。公式番号が確認できない世界を区別するために、データベースの編集者やファンコミュニティが付けた暫定番号であり、Marvel公式のアースナンバーではありません。
旧記事では「アースTRN414」なども一覧へ掲載していましたが、今回のリライトでは公式番号と誤解されないよう、確定済みの番号とは分けて扱います。
MCUはアース616?それともアース199999?
結論からいうと、どの作品・資料の分類を基準にするかによって呼び方が異なります。
Marvel公式サイトは2020年、コミックを中心としたマルチバースの解説で、MCUを「アース199999」と紹介しました。
一方、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)では、アース838のクリスティーンがMCUのドクター・ストレンジの世界を「アース616」と呼んでいます。Marvel Studios監修の書籍『The Marvel Cinematic Universe: An Official Timeline』(2023)でも、MCUのメインユニバースはアース616とされています。
ところが、ソニー・ピクチャーズ・アニメーションの『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(2023)では、ミゲル・オハラがMCUのドクター・ストレンジとスパイダーマンを「アース199999」の人物として扱っています。
したがって、現在は次のように整理するのが最も分かりやすいでしょう。
- MCU作品内・Marvel Studiosの分類:アース616
- コミック系資料・スパイダーバース側の分類:アース199999
なお、コミックのメインユニバースもアース616です。MCUとコミックが同じ世界になったという意味ではなく、別の作品体系で同じ番号が使われています。
この記事では混同を避けるため、MCUのメインユニバースを「アース616/199999」と併記します。
作品別アースナンバー
| アースナンバー | 主な作品・世界 |
|---|---|
| 616(コミック) | マーベルコミックのメインユニバース ※作品数が多いため別記事にまとめています |
| 616/199999(MCU)※1 | 『アイアンマン』(2008)から続くMCUのメインユニバース 『アベンジャーズ』シリーズなど ※作品数が多いため別記事にまとめています |
| 838 | 『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022) イルミナティが存在する世界 |
| 828 | 『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』(2025) 1960年代風のレトロフューチャーな世界 ※「828」は共同原作者ジャック・カービーの誕生日である8月28日に由来します |
| 10005※2 | 20世紀フォックス版X-MEN映画の世界 『X-MEN』(2000) 『X-MEN2』(2003) 『X-MEN:ファイナル ディシジョン』(2006) 『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009) 『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011) 『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013) 『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014) 『デッドプール』(2016) 『X-MEN:アポカリプス』(2016) 『LOGAN/ローガン』(2017) 『デッドプール2』(2018) 『X-MEN:ダーク・フェニックス』(2019) 『ニュー・ミュータント』(2020) 『デッドプール&ウルヴァリン』(2024) |
| 96283 | サム・ライミ監督版『スパイダーマン』(2002) 『スパイダーマン2』(2004) 『スパイダーマン3』(2007) |
| 120703 | 『アメイジング・スパイダーマン』(2012) 『アメイジング・スパイダーマン2』(2014) |
| 688※3 | 『ヴェノム』(2018) 『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021) 『ヴェノム:ザ・ラストダンス』(2024) ※『アクロス・ザ・スパイダーバース』の脚本で、ミセス・チェンがいる世界をアース688と表記 |
| 400083 | 『ハルク』(2003) |
| 26320 | 『ブレイド』(1998) 『ブレイド2』(2002) 『ブレイド3』(2004) ドラマ『ブレイド ブラッド・オブ・カソン』(2006) |
| 58470 | 『ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀』(1986) |
| 58627 | 『パニッシャー』(1989) ※ドルフ・ラングレン主演版 |
| 58732 | 『パニッシャー』(2004) ※トーマス・ジェーン主演版 |
| 121347 | 『ゴーストライダー』(2007) 『ゴーストライダー2』(2011) |
| 121698 | 『ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]』(2005) 『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』(2007) |
| 15866 | 『ファンタスティック・フォー』(2015) |
| 701306 | 『デアデビル』(2003) 『エレクトラ』(2005) |
| 1610(スパイダーバース映画)※4 | マイルス・モラレスの故郷 『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018) 『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(2023) |
| 65(スパイダーバース映画)※4 | グウェン・ステイシー/スパイダー・ウーマンの故郷 |
| 616B(スパイダーバース映画)※4 | ピーター・B・パーカーの故郷 |
| 42(スパイダーバース映画)※4 | マイルスをかんだクモが来た世界 スパイダーマンが存在せず、マイルス・G・モラレスがプロウラーになった世界 |
| 50101(スパイダーバース映画)※4 | パヴィトル・プラバカール/スパイダーマン・インディアの世界「ムンバッタン」 |
| 928(スパイダーバース映画)※4 | ミゲル・オハラ/スパイダーマン2099とスパイダー・ソサエティの拠点「ヌエバ・ヨーク」 |
| 92131 | 『X-MEN』(1992~1997年のアニメシリーズ) 『スパイダーマン』(1994~1998年のアニメシリーズ) 『X-MEN ’97』(2024~) |
| 82111 | 『ホワット・イフ…?』のキャプテン・カーターが誕生した世界 |
| 89521 | 『ホワット・イフ…?』シーズン1第5話「もしも…ゾンビが出たら?」(2021) アニメ『マーベル・ゾンビーズ』(2025) |
| 1610(コミック) | 2000年に始まった旧アルティメット・マーベル・ユニバース 若いピーター・パーカーやマイルス・モラレスなどを現代的な設定で描いた世界 |
| 6160 | 2023年の『Ultimate Invasion』から始まった新アルティメット・ユニバース 『Ultimate Spider-Man』『Ultimate Black Panther』『Ultimate X-Men』『Ultimates』など ※シリーズは『Ultimate Universe Finale』(2026)で完結 |
| 2149 | コミック版『マーベル・ゾンビーズ』シリーズ ※アニメ版のアース89521とは別の世界です |
| 2301 | コミック『マーベル・マンガバース』シリーズ |
| 1218 | 私たちの現実世界をモデルにした、マーベル作品内の「現実世界」 ※厳密には現実そのものではなく、コミック内に登場する架空の表現です |
※1 MCUのメインユニバースは、Marvel Studiosの作品内ではアース616、コミック系資料やスパイダーバース側ではアース199999とされています。どちらか一方だけが完全な誤りというより、作品体系ごとに分類が異なる状態です。
※2 『デッドプール&ウルヴァリン』では、デッドプールの故郷がアース10005であり、その世界のアンカー・ビーイングだったウルヴァリンが『LOGAN/ローガン』で死亡したため、世界が徐々に崩壊していると説明されました。
過去の資料では、『LOGAN/ローガン』をアース17315、『デッドプール2』をアース41633、歴史改変後のX-MEN映画をアースTRN414とする整理もありました。しかし、映画本編はこれらの番号とアース10005の関係を明確に説明していません。
そのため本記事では、『デッドプール&ウルヴァリン』で明示されたアース10005を中心にまとめています。ただし、上記の作品が矛盾のない一本の時間軸に並ぶと断定しているわけではなく、時間移動によって生まれた複数の分岐を含む映画世界として扱っています。
また、『デッドプール&ウルヴァリン』に登場する別世界出身のウルヴァリンの元のアースナンバーは明らかになっていません。
※3 アース688は、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の公式脚本で、実写版『ヴェノム』のミセス・チェンが登場する世界に付けられた番号です。一方、コミック側にも別の「アース688」が存在します。
『モービウス』『マダム・ウェブ』『クレイヴン・ザ・ハンター』はソニーの関連作品として展開されましたが、各作品とアース688の関係が作品本編で明確に番号付けされていないため、表には加えていません。
※4 『スパイダーバース』映画シリーズは、アース65だけを舞台にした作品ではありません。主人公マイルスの故郷はアース1610で、物語はアース65、42、50101、928など複数の世界を移動します。
これらの番号にはコミックの既存アースと重複するものがあります。海外のデータベースでは区別のため「1610B」「65B」「928B」などと表記される場合がありますが、映画本編や脚本では「1610」「65」「928」と表記されており、「B」の使い方も完全には統一されていません。本記事では、映画で確認できる表記を優先しています。
アースナンバーが確定していない主な作品・世界
マーベル作品の中には、別世界であることは分かっていても、アースナンバーが明らかになっていないものがあります。
例えば、アニメ『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』(2025)は、MCUのメインユニバースとは異なる時間軸を描いていますが、作品本編で正式なアースナンバーは示されていません。
また、『マーベルズ』(2023)のラストでモニカ・ランボーがたどり着いた、ビーストや別世界のマリア・ランボーがいる宇宙にも、現時点で明確なアースナンバーは付けられていません。
『デッドプール&ウルヴァリン』に登場したウルヴァリンや、ヴォイドに集められていた多数のキャラクターについても、元のアースを特定できない人物が多くいます。
このような世界にファンサイトのTRN番号が付けられることはありますが、公式作品で確認できる番号ではないため、断定には注意が必要です。
まとめ
アースナンバーは、マーベルの膨大な作品を整理するうえで便利な仕組みです。ただし、すべての映画・ドラマ・アニメ・コミックで一つの番号体系が完全に共有されているわけではありません。
特に注意したいのは、次の点です。
- コミックのメインユニバースはアース616
- MCUのメインユニバースは、MCU内では616、コミック系資料やスパイダーバース側では199999
- 20世紀フォックス版X-MEN映画は、現在の作品内表記ではアース10005を中心に整理されている
- 『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』はアース828
- 映画版『スパイダーバース』は一つのアースではなく、複数の世界を移動する物語
- TRNはファンコミュニティによる暫定番号で、Marvel公式番号ではない
今後、『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』や『アベンジャーズ/シークレット・ウォーズ』などで複数の世界が交われば、これまで曖昧だった番号や世界同士の関係が明らかになる可能性があります。
ただし、公開前の作品については予告や噂だけでアースナンバーを断定せず、作品本編やMarvel公式の発表を待つのが確実です。
主な参考資料
- A Guide to the Many Marvel Multiverses|Marvel.com
- This Week in Marvel Universes: Earth-616|Marvel.com
- The Marvel Cinematic Universe: An Official Timeline|Marvel.com
- 『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』のアース616・838解説|Marvel.com
- 『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』のアース828解説|Marvel.com
- 新アルティメット・ユニバース(アース6160)解説|Marvel.com
- 新アルティメット・ユニバースの完結発表|Marvel.com
- 『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』脚本
- Official Handbook of the Marvel Universe関連・アース番号一覧|Appendix to the Handbook of the Marvel Universe