アニャ・テイラー=ジョイとクリス・エヴァンスが共演する映画『Sacrifice(原題)』。
予告では、アニャ・テイラー=ジョイ演じるカルト集団の指導者が、クリス・エヴァンス演じる映画スターを誘拐。世界の滅亡を防ぐため、火山へ捧げようとします。
「実在したカルト事件が原作?」「ギリシャ神話の映画化?」「『ロード・オブ・ザ・リング』と関係がある?」と気になった方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、『Sacrifice』は特定の小説や実話、神話を原作にした映画ではありません。
ギリシャ神話、ジャンヌ・ダルク、現代のセレブ文化などを組み合わせたオリジナル作品です。
さらにロマン・ガヴラス監督は、登場人物たちが火山を目指す構造について、映画を作る途中で『ロード・オブ・ザ・リング』との共通点に気づいたと説明しています。
ただし、同シリーズの正式な関連作品やパロディーではありません。
映画『Sacrifice』に原作はある?
映画『Sacrifice』には、原作となる特定の小説や漫画はありません。
ロマン・ガヴラス監督と、『メディア王 〜華麗なる一族〜』などに参加した脚本家ウィル・アーベリーが脚本を手掛けたオリジナル作品です。
監督はNetflixのインタビューで、本作の着想について、幼い頃から親しんできた神話に加えて、次のような要素を挙げています。
- ギリシャ神話
- ジャンヌ・ダルクなどのフランスの物語
- 『ロード・オブ・ザ・リング』
- 富裕層やセレブが参加するチャリティーイベント
- 信仰と集団心理
- 環境問題に対する表面的な姿勢
したがって、ギリシャ神話の特定のエピソードをそのまま映画化した作品でも、実在事件を再現した作品でもありません。
複数の神話や現代社会の問題を取り入れ、独自の物語として作られています。
『Sacrifice』はどんな物語?
物語の舞台は、セレブや大富豪が集まる環境保護のチャリティーイベントです。
クリス・エヴァンスが演じるマイク・タイラーは、俳優としての再起を目指しているアクションスター。華やかなイベントへ参加しますが、会場はジョーンと仲間たちによって占拠されてしまいます。
ジョーンは、アニャ・テイラー=ジョイが演じるカルト集団の指導者です。
彼女たちは、3日後に人類を滅ぼす規模の災害が起きるため、3人を近くの火山へ捧げなければならないと信じています。
誘拐されたマイクたちは火山へ連れて行かれることになり、逃亡と追跡を交えた旅が始まります。
Netflixは本作を、コメディー、ドラマ、スリラー、ダークコメディーに分類しています。カルト集団が人間を火山へ捧げようとする設定ですが、一般的なオカルトホラーだけに分類できる作品ではありません。
なぜ人間を火山へ捧げるの?
映画の中でジョーンたちは、3人を火山へ捧げなければ世界が滅亡すると信じています。
ただし、現時点で公表されている公式情報では、次の点までは明らかになっていません。
- 予言がどこから生まれたのか
- なぜ犠牲者が3人なのか
- 火山に実際の異変が起きているのか
- ジョーンたちの主張が事実なのか
- 単なる妄信なのか、それとも超自然的な要素があるのか
映画の重要なポイントは、予言が正しいかどうかだけではなく、信じる人間と信じない人間が極限状態でどう行動するかにあると考えられます。
アニャ・テイラー=ジョイも、本作について、個人の努力と集団の努力、社会が本当に重要な問題から目を背けている状況などが描かれていると説明しています。
『ロード・オブ・ザ・リング』とはどう関係する?
『Sacrifice』と『ロード・オブ・ザ・リング』に、物語上の直接的なつながりはありません。
監督が挙げた共通点は、何かを火山へ運び、そこで処分しようとする旅の構造です。
『ロード・オブ・ザ・リング』では、フロドたちが「一つの指輪」を滅ぼすため、滅びの山を目指します。
一方の『Sacrifice』では、カルト集団が世界を救うためだと信じ、犠牲者を火山へ連れて行こうとします。
| 作品 | 火山へ運ぶもの | 目的 |
|---|---|---|
| 『ロード・オブ・ザ・リング』 | 一つの指輪 | 指輪を破壊する |
| 『Sacrifice』 | 生贄に選ばれた人間 | 世界の滅亡を防ぐと信じている |
ロマン・ガヴラス監督は脚本を執筆している途中で、自分たちが『ロード・オブ・ザ・リング』と似た旅を描いていることに気づいたと、冗談を交えて語っています。
つまり、同作を原作にしているわけではなく、火山を目的地とする冒険の形に共通点があるという意味です。
ジャンヌ・ダルクとの関係は?
監督は、本作へ影響を与えたフランスの物語としてジャンヌ・ダルクを挙げています。
アニャ・テイラー=ジョイが演じる人物の名前も、ジョーンです。英語の「Joan of Arc」は、ジャンヌ・ダルクを指します。
両者には次のような共通要素があります。
- 強い信仰を持つ若い女性
- 自分が使命を与えられたと考えている
- 周囲の人々を巻き込んで行動する
- 救済と犠牲が物語の中心にある
ただし、ジョーンがジャンヌ・ダルクを直接モデルにした人物だと、公式に詳しく説明されているわけではありません。
火山の場面は実際の場所で撮影された?
『Sacrifice』は、ギリシャ、ブルガリア、アイスランドでロケ撮影されました。
監督によると、北部ギリシャの鉱山には、正装した約200人のエキストラと主要キャストを集めて撮影したとのことです。
火山での場面では、実際の活火山へ機材を運び、出演者やスタッフが毎朝約1時間かけて登りました。機材の一部はロバを使って運んだと明かされています。
火山を目指す物語に合わせて、スタジオ内のセットだけではなく、本物の場所が使われていることになります。
チャーリーXCXは本人役ではない
本作には、歌手のチャーリーXCXも出演しています。
役名はマザー・ネイチャー(Mother Nature)。本人役ではなく、ジョーンと行動する集団の一員です。
ただし、出演場面は多くなく、監督は小さなカメオ出演であると説明しています。
スウェーデン出身のラッパー、ヤング・リーンもアーサー役で出演します。ロマン・ガヴラス監督は2人と以前から交流があり、ヤング・リーンには脚本を書いている段階で直接出演を依頼しました。
『Sacrifice』の主なキャスト
| 出演者 | 役名・人物 |
|---|---|
| クリス・エヴァンス | マイク・タイラー/再起を目指す映画スター |
| アニャ・テイラー=ジョイ | ジョーン/カルト集団の指導者 |
| ヴァンサン・カッセル | ベン・ブラッケン/大富豪 |
| サルマ・ハエック・ピノー | グロリア・ブラッケン |
| アンビカ・モッド | ドーター・ネイチャー |
| ヤング・リーン | アーサー |
| チャーリーXCX | マザー・ネイチャー |
| ジョン・マルコヴィッチ | グンナー |
| サム・リチャードソン | オリバー |
クリス・エヴァンスが演じるマイクは、本人と同じアクションスターという設定です。
監督は、クリス・エヴァンスが俳優としての自分自身やスターのエゴを理解している点を役へ反映したと説明しています。実在する本人の経歴を思わせる、意図的にメタな配役といえそうです。
Netflixでいつから配信される?
Netflix公式は、2026年10月16日から米国とフランスで配信すると発表しています。
現時点で確認できる公式発表は、この2カ国についてです。
日本で同日配信されるか、日本語タイトルが『サクリファイス』になるかは、今回確認した公式情報では発表されていません。
まとめ
映画『Sacrifice』は、特定の小説や実話を原作にした作品ではありません。
ギリシャ神話、ジャンヌ・ダルク、現代のセレブ文化、環境問題などから着想を得たオリジナルのダークコメディーです。
『ロード・オブ・ザ・リング』とは正式なつながりはありませんが、「何かを火山へ運ぶ旅」という物語の構造が共通しています。
重要な点をまとめると、次のとおりです。
- 特定の原作はない
- 実在事件の映画化ではない
- ギリシャ神話やジャンヌ・ダルクなどから着想
- 『指輪物語』とは火山を目指す旅の構造が似ている
- チャーリーXCXは本人役ではなくマザー・ネイチャー役
- ホラーだけでなく風刺的なダークコメディー
- 米国とフランスでは2026年10月16日配信
- 日本での配信日と邦題は現時点で未確認
一見すると奇抜な火山カルト映画ですが、その内側には、セレブ文化、形だけの社会貢献、信仰と妄信などを扱う風刺が込められています。予言が真実なのか、それとも集団の思い込みなのかも、本編を見るうえで注目したいポイントです。