映画『全領域異常解決室』は、ドラマ最終回後の世界を描く2部作として、2027年春に連続公開される予定です。
1作目の舞台はドラマ最終回から2年後。別々の道を歩んでいた興玉雅と雨野小夢が、新たな事件をきっかけに再会します。2作目では京都を舞台に、全決京都本部や最高神・天照大御神(あまてらすおおみかみ)も物語へ加わります。
映画を見る前にドラマを復習したくても、
- 前半で起きた事件を忘れてしまった
- どこから神様の物語になったのか分からない
- ヒルコの正体や目的を思い出せない
- 小夢の記憶が最後にどうなったのか確認したい
- 二宮が残した葦の船にはどんな意味があるのか
という人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ドラマ『全領域異常解決室』第1話から最終回までのあらすじと結末を、映画につながる重要な部分を中心に解説します。
※ここからはドラマ全話の重要なネタバレを含みます。
『全領域異常解決室』はどんな物語?
警視庁音楽隊カラーガード、通称「MEC」に所属していた雨野小夢は、突然、内閣府の「全領域異常解決室」への出向を命じられます。
全領域異常解決室、通称「全決」は、超常現象やオカルトのように見える不可解な事件を調査する組織です。小夢は室長代理の興玉雅と組み、「ヒルコ」を名乗る人物が犯行声明を出す事件を追うことになります。
第1話から第5話までは、神隠し、キツネツキ、タイムホール、縊鬼(いつき)、千里眼などの超常現象を、科学や人間の心理から解き明かすミステリーとして進みます。
しかし、第5話の終盤から物語は大きく変化します。
興玉や全決のメンバーは、人間の姿で現代を生きる八百万の神々でした。全決の本当の仕事は、神が起こした事件を人間に知られないように処理し、神と人間の世界の均衡を保つことだったのです。
第1話|神隠し事件とシャドーマン
雨野小夢は全決へ出向し、興玉雅とともに「神隠し事件」を調べることになります。
事件現場には衣服、持ち物、大量の血液が残されているものの、遺体がありません。さらに「私は神の一柱、ヒルコである」という犯行声明が公開され、人々の間でヒルコへの恐怖と信仰が広がっていました。
最近の被害者3人には、元地下アイドルの松宮瑠偉とのつながりがありました。松宮は事件後、「ヒルコが見える」と発信して人気配信者になっています。
興玉は防犯カメラに映った黒い人影を「シャドーマン」と表現しますが、実際には映像と光を利用した偽装でした。
被害者たちは松宮を有名にするため、血液と衣服を残して神隠しを演出していました。しかし計画の参加者同士に裏切りが起こり、偽装では済まない殺人事件へ発展します。
この事件自体は人間によるものでしたが、過去に起きた神隠し事件のすべてが偽物だったわけではありません。第1話の段階から、本物のヒルコ事件が人間の模倣犯罪を生み出していたのです。
第2話|学校のキツネツキと集団失神
葛乃葉女子高等学校で、生徒や教師が相次いで失神する事件が発生します。ヒルコは「キツネツキによる祟り」だと犯行声明を出しました。
学校では、生徒の白石一香が飛び降りて亡くなり、人気教師の池神春来も失踪していました。さらに、校内にあった古い祠が生物部によって解体されていたことが分かります。
興玉は全校生徒の前でキツネツキの可能性を語りますが、集団失神の原因は、祠の下にあった古い井戸から発生したメタンガスでした。
一方、白石の死と池神の失踪には、学校内で隠されていた人間関係が関係していました。怪異に見えた事件を科学的に解決しながら、人が都合の悪い真実を祟りのせいにする構図が描かれます。
第3話|空から落ちてきた左足とタイムホール
高層マンションの庭園に、人間の左足と小型機の一部が空から落ちてきます。
左足は、4年前に小型機ごと行方不明になった物理学者・真鍋哲のものでした。真鍋はタイムホール研究の第一人者で、過去や未来につながる装置を研究していました。
興玉たちは、かつて研究データの捏造を疑われた常見真紀や、研究所の関係者を調査します。その結果、真鍋の失踪には研究を巡る対立と殺害計画が関係していたことが判明します。
ただし、空から落ちてきた左足と機体の一部については、タイムホールの存在を完全には否定できない形で終わりました。
前2話では怪異が人間の犯罪や自然現象として説明されましたが、第3話では「本当に超常現象が起きた可能性」が残されます。
第4話|縊鬼による連続飛び降り事件
大手町のビジネス街で、国家的な事業に関わる人物が相次いで飛び降り自殺します。
ヒルコは、人を自殺へ導く妖怪・縊鬼(いつき)による天罰だと主張しました。被害者はいずれも、亡くなる前に「縊鬼に会った」と周囲へ話していました。
しかし、事件の背景にあったのは妖怪ではなく、薬物と人間による誘導でした。ヒルコの名を利用する者が被害者を追い込み、超常現象による死に見せかけていたのです。
この回では、配達員の芹田正彦が驚異的な道案内能力を発揮します。当初は非常に優れた空間把握能力のように見えましたが、後に芹田が導きの神・猿田毘古神(さるたびこのかみ)であることが分かります。
第5話|爆破予告と千里眼の正体
東京都内で爆破予告が相次ぎます。ヒルコはマスコミへ犯行声明を出しますが、その直後、別の人物が警察へ爆弾の場所を知らせていました。
すべての現場に豊玉妃花が映っていたため、小夢や警察は彼女をヒルコではないかと疑います。
一方、薬剤師の生嶋未智は爆弾の場所を事前に知り、「自分には千里眼がある」と説明します。しかし、本当に千里眼を持っていたのは、娘の生嶋未琴でした。母親は幼い娘を守るため、自分に能力があるように見せていたのです。
未琴の正体は、市寸島比売命(いちきしまひめのみこと)という神でした。
さらに、豊玉妃花はヒルコではなく、水を操る豊玉毘売命(とよたまびめのみこと)であり、爆発を防ぐために現場を回っていたことが分かります。
そして興玉雅は興玉神(おきたまのかみ)、宇喜之民生は宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)、芹田正彦は猿田毘古神であることが明かされます。
ここから『全領域異常解決室』は、怪異を否定するミステリーから、現代に生きる神々の物語へと大きく変わります。
第6話|全決の本当の役割と大国主神
興玉は小夢に、この世界には多くの神が人間として暮らしていると説明します。
神々は魂を次の肉体へ移し、何度も転生を繰り返しています。全決の本当の仕事は、神が起こした不可解な事件を人間に知られないように収めることでした。
そのころ、美容系インフルエンサーが過食によって窒息死する事件が続きます。ヒルコは「犬神の呪い」だと発表し、興玉たちは美容整形外科医の大隈邦男へたどり着きます。
大隈の正体は、国造りと縁結びの神・大国主神(おおくにぬしのかみ)でした。
事件を通して、神は不老不死ではなく、現在の肉体には寿命があること、転生しても過去の縁や思いを抱え続けることが描かれます。
そして小夢は、自分にも神としての過去があるのではないかと気づき始めます。
第7話|小夢の正体と4カ月前の出来事
第7話は、第1話より前に起きた出来事を描く「エピソード0」にあたる回です。
小夢の正体は、芸能と踊りの神・天宇受売命(あめのうずめのみこと)でした。現在の小夢は記憶を失っていますが、4カ月前までは神として全決の室長を務め、興玉たちと行動していました。
当時、全決に料理を振る舞っていた大宜津比売神(おおげつひめのかみ)が、ヒルコの神隠しによって消されます。
神隠しの被害者同士に交友関係があることから、興玉たちは、ヒルコが一人の神から次の標的を聞き出していると推測します。
さらに、人間でありながら神の記憶を消す「事戸渡し」を習得した役小角(えんのおづぬ)が、現代まで生き続けてヒルコを名乗っている可能性が浮上します。
ヒルコは興玉の本当の正体を知るため、小夢を狙いました。小夢は神器・天之加久矢(あめのかくや)で致命傷を負い、秘密を守るために自らへ事戸渡しを行います。
その結果、小夢は天宇受売命としての記憶と力を失い、人間として全決へ戻ってきました。興玉が第1話から小夢を気にかけていた理由も、この回で明らかになります。
第8話|月読命の時間操作と興玉の秘密
東京で、普通に暮らしていた人が一晩で餓死する事件が続きます。
現場周辺の防犯カメラには、月読命(つくよみのみこと)として生きる佃未世の姿が映っていました。月読命は、月明かりの下で時間を操る力を持っています。
しかし、佃が単純に人間を殺していたわけではありません。佃自身も家族を巡る悲しみを抱え、事件とヒルコの計画に巻き込まれていました。
ヒルコ側は佃の能力と感情を利用し、神々への疑いを強めます。さらに佃は、興玉の正体が天石戸別神(あめのいわとのわけのかみ)であることを突き止め、メッセージを残します。
一方、警察からは人魚のミイラが盗まれます。人魚の肉は不老不死と関係しており、ヒルコの正体へつながる重要な手がかりでした。
第9話|興玉の正体と小夢の覚悟
荒波健吾は直毘吉道から情報を与えられ、興玉とヒルコの関係を疑い始めます。
興玉は佃が残したメッセージから、自分の正体がヒルコ側に知られたことを悟ります。その後、天之加久矢の矢尻を使った襲撃を受け、傷が塞がらない状態になります。
興玉は仲間たちに、自分の本当の正体が天石戸別神であると告白します。
天石戸別神は、寿命を迎えた神へ事戸渡しを行い、黄泉へ送る役目を持つ神です。興玉が正体を隠してきたのは、仲間に恐れられることを避けるだけでなく、ヒルコから狙われないためでもありました。
興玉が助かるには、現在の肉体を捨てて再び転生する必要があります。しかしヒルコは、興玉が死ねば小夢を殺すと脅します。
小夢は興玉を救うために行動しますが、二宮のの子に捕らえられます。興玉、芹田、豊玉も寿正との戦いに敗れ、ヒルコを信奉する人間たちのもとへ連れていかれました。
最終回|ヒルコの正体は直毘吉道=役小角
寿正が開発したSNSによって「選別」が始まり、映像を見続けた人々が次々と命を絶ちます。
寿は、ヒルコに選ばれた人間が新しい世界を支配し、それ以外の人間を排除すると説明します。そしてヒルコとして姿を現したのは、二宮のの子でした。
しかし二宮は本当の黒幕ではなく、首に貼られた呪符によって操られていました。
全決の宇喜之民生に加え、京都本部の日野克己と大和田光男が救援に現れます。
- 日野克己:火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)
- 大和田光男:大綿津見神(おおわたつみのかみ)
興玉は小夢を救うため、一人で黒幕のもとへ向かいます。そこで待っていたのが直毘吉道でした。
直毘の正体は、飛鳥時代から生き続ける役小角です。人魚の肉によって不老不死となり、長い年月の中で神通力と事戸渡しを身につけていました。
直毘はヒルコという名前を使い、神々を黄泉へ送り、人間が支配する新しい世界を作ろうとしていました。神が人間を甘やかしたため、人間は傲慢になったと考えていたのです。
一方、興玉は、人間に何度裏切られても信じ続けるしかないと答え、直毘と対決します。荒波の協力もあり、小夢は救出され、直毘の計画は阻止されました。
小夢はなぜ記憶を消された?
小夢は、興玉の正体を直毘に知られないよう、過去の自分に事戸渡しを行っていました。
そのため事件が解決しても、すぐに天宇受売命としての記憶や力を取り戻すことはできませんでした。
さらに、人間である小夢や荒波が神々の存在を知ったままになると、神と人間の世界の均衡が崩れる恐れがあります。
興玉は規則に従い、小夢と荒波から神々に関する記憶を消しました。
小夢と興玉は他人に戻りますが、最後に道ですれ違った際、小夢は全決へ入るときに使っていた鈴を握っていました。また、小夢の指は、神の力を使うときの形にわずかに動きます。
記憶は消えても、興玉との絆や天宇受売命の力が完全には失われていない可能性を示す場面です。
二宮のの子は最後にどこへ消えた?
直毘に操られていた二宮は、最終決戦で負傷しますが、一命を取り留めます。
ところが入院中の二宮は、病室で葦を編み始めました。その後、二宮は姿を消し、ベッドには小さな葦の船が残されます。
日本神話の蛭児(ひるこ)は、イザナギとイザナミの間に最初に生まれたものの、葦の船に乗せられて流されたと伝えられています。
二宮が葦の船を残したことから、
- 二宮が本物のヒルコになった
- ヒルコの魂が二宮に宿った
- 直毘の計画とは別のヒルコが存在する
などの可能性が考えられます。
ただし、ドラマでは二宮の正体や行方は明かされていません。映画で回収される可能性がある、大きな伏線の一つです。
映画前に覚えておきたい5つのポイント
ドラマの内容をすべて覚え直すのが難しい場合は、次の5点を押さえておけばよいでしょう。
1.興玉の正体は天石戸別神
興玉雅は興玉神として活動していましたが、本当の正体は、神を黄泉へ送る天石戸別神です。
2.小夢の正体は天宇受売命
小夢は芸能と踊りの神・天宇受売命です。最終回では記憶を消されましたが、神の力が残っているような描写がありました。
3.ヒルコ事件の黒幕は直毘吉道
直毘の正体は不老不死となった役小角で、神そのものではありません。ヒルコの名を利用して人間を扇動していました。
4.二宮と本物のヒルコの関係は未解決
二宮は直毘に操られていましたが、最後に神話上のヒルコを象徴する葦の船を残して失踪しました。
5.京都本部が存在する
全決には東京だけでなく京都本部もあり、火之迦具土神と大綿津見神が所属しています。映画2作目は京都が舞台となるため、再び重要な役割を担うと考えられます。
まとめ
『全領域異常解決室』は、前半では超常現象を人間の犯罪や科学から解き明かすミステリーとして進み、第5話の終盤から神々とヒルコの戦いへ変化しました。
ヒルコ事件の黒幕は直毘吉道で、その正体は不老不死となった役小角でした。直毘はすべての神を消し、人間が支配する新しい世界を作ろうとしますが、興玉と全決メンバーによって阻止されます。
一方、小夢は神々の記憶を失い、興玉とは他人として別れました。しかし、最後に見せた指の動きと鈴は、2人のつながりが残っていることを示しています。
さらに、二宮の失踪と葦の船、京都本部、天照大御神の登場など、映画へつながる要素も残されています。
映画1作目はドラマ最終回から2年後、2作目は京都を舞台に描かれます。ドラマの結末を押さえたうえで見ると、離れていた興玉と小夢がどのように再会し、神と人間の世界がどう変わったのかを、より深く楽しめるでしょう。
※映画『全領域異常解決室』は2027年春に2作連続公開予定です。最新情報は公式サイトでご確認ください。