Netflixドラマ『BELOW/ビロウ』では、ニューファンドランド島の小さな漁村スヌークス・アームに、異様な氷山と謎の海洋生物が出現します。
町を襲う怪物の正体は、北極圏の深海から流れ着いた巨大なイカ型の頭足類です。しかし、単なる凶暴な怪物ではありません。
氷山に見えた物体の正体や、カルヴィンが怪物を助けた理由、ラストに多数の氷山が現れた意味まで、最終話の内容を整理します。
『BELOW/ビロウ』の怪物の正体
怪物の正体は、北極圏の深海に生息していた巨大なイカ型の頭足類です。
劇中では、一般に知られている生物とは異なる存在として扱われており、海洋研究者のフォンダも、既存の分類記録にはない生物だと説明しています。
町に伝わる呪いや海の魔女が怪物を呼び寄せたわけではありません。怪物そのものは、温暖化によって生息環境を失い、スヌークス・アームまで流されてきた生物でした。
Guardianも、本作の怪物を「永久凍土の融解によって解放された巨大な頭足類」と説明しています。
氷山の正体は怪物が作った卵の巣
港に現れた巨大な物体は、普通の氷山ではありません。
その正体は、怪物が分泌した粘液状の膜と氷によって形成された、巨大な卵の巣です。
フォンダは当初、怪物が自分の縄張りを示すために氷山へ粘液を付着させたと考えていました。しかし、採取した物質を調べるうちに、中に無数の卵が存在することを突き止めます。
怪物が氷山の周囲から離れず、人間や船を攻撃していたのも、そこに産みつけた卵を守るためでした。
怪物は町を襲うためにやって来たのではなく、子供を守ろうとしていた母親だったのです。
怪物がニューファンドランドまで来た理由
怪物の本来の生息地は、冷たい北極圏の深海です。
しかし、海水温の上昇や氷河・永久凍土の融解によって、生息環境が変化します。怪物は卵の巣とともに南へ流され、ニューファンドランド島のスヌークス・アームへたどり着きました。
つまり、怪物も町の住民と同じく、外部の大きな力によって故郷を追われた存在です。
作品では、魚が減って漁業だけでは生活できなくなった人々と、生息地を失った怪物が重ねられています。出演者のマッケンジー・デイヴィスも、本作では気候変動が重要な要素になっていると語っています。
氷を食べた住民に異変が起きた原因
町では、氷山から採取した氷が飲料や酒などに利用されていました。
ところが、氷山の内部には怪物の粘液や卵に関係する物質が含まれていたため、それを口にした住民に異変が起こります。
強い喉の渇きや幻覚に襲われ、やがて海へ引き寄せられるような行動を取るようになりました。ウェイドやバリーに起きた異変も、この影響によるものです。
町で語られていた呪いが現実になったように見えますが、物語の中では、怪物に由来する物質による症状として描かれています。
カルヴィンが怪物を助けた理由
軍は住民を避難させたうえで、怪物と氷山を空爆しようとしていました。
しかし、フォンダから氷山が卵の巣であると聞いたカルヴィンは、怪物を倒すのではなく、巣ごと港の外へ移動させる方法を思いつきます。
怪物が港にとどまっているのは、卵から離れられないためです。それなら、巣を沖まで運べば、怪物も港から出ていくと考えたのです。
カルヴィンたちは氷を一部砕き、巨大な網をかけます。そしてカルヴィンが自分の船「ハイ・ホープス」で巣を水深約2,000メートルの沖合まで曳航しました。
怪物が港から離れたため、軍は空爆を中止。スヌークス・アームは壊滅を免れます。
この氷山を移動させる展開は、ニューファンドランドで実際に行われる氷山の採取や、航路から氷山を動かす作業をヒントにしています。
卵が孵化できなかった理由
カルヴィンは巣を深い海まで運びましたが、怪物の子供たちが助かったとは言い切れません。
フォンダによると、巣が流れ着いた海域は、卵が育つには水温が高すぎました。そのため、卵が正常に孵化する可能性は低いと考えられます。
また、多くの頭足類は一度繁殖すると、母親が卵を守りながら食事をやめ、最後には力尽きます。
本作の怪物も、卵を守るために残された力を使い果たしていました。カルヴィンは怪物を軍の攻撃から救いましたが、母親と卵の運命まで変えられたわけではありません。
怪物が海へ帰った場面は一見すると救出の成功に見えますが、完全なハッピーエンドではないのです。Rss Search Engine
カルヴィンの父親が亡くなった事故の真相
物語の冒頭では、幼いカルヴィンの家族が建物を海上で曳航している最中、何かに襲われて家が沈み、父親のレオが亡くなります。
カルヴィンは長い間、その出来事を自分たち家族にかけられた呪いのように考えていました。
しかし、そのとき海中にいたのも、今回現れたものと同種、または同じ怪物だった可能性が示されています。
怪物はカルヴィンにとって父親を奪った恐怖の象徴でした。それでもカルヴィンは最後に怪物を助けます。怪物も自分と同じように、家族を守ろうとしているだけだと理解したからです。
この決断によって、カルヴィンは過去の恐怖と罪悪感から一歩踏み出します。
クロッカー家が住民を移住させようとした理由
ジム・クロッカーと娘のジャンが移住計画を進めていたのは、住民の安全だけを考えていたからではありません。
スヌークス・アームの地下には、コバルトや銅などの価値ある鉱物資源が眠っていました。
クロッカー家はその情報を把握しており、土地の本当の価値を住民に知らせないまま町を明け渡させようとしていたのです。
怪物による被害は、住民を一斉に避難させ、移住に同意させるための好都合な材料になりました。ジムが怪物への空爆を強く求めたのも、港や町が破壊された方が移住計画を進めやすかったためです。
カルヴィンが鉱業許可に関する書類を見つけたことで、住民は移住計画の裏側を知ります。投票はやり直され、クロッカー家の計画はひとまず阻止されました。
ラストに多数の氷山が現れた意味
ラストでは、カルヴィンとウェイドが船で海へ出たところ、水平線に多数の氷山が現れます。
一つの巣を沖へ運び、町は救われました。しかし、カルヴィンが解決できたのは目の前の問題だけです。
ここで注意したいのは、最後に現れた氷山のすべてが、怪物の卵の巣だと確定したわけではない点です。
怪物と同じ生物がさらに押し寄せてくる可能性を連想させる映像ではありますが、制作者のジェシー・マキューンは、あの場面を単純な続編用のクリフハンガーではなく、気候変動によって今後も起こり得る変化を示す結末として説明しています。
物語の序盤では、多くの氷山が流れてくることは、氷を商品として売る住民にとって歓迎すべき出来事でした。ところが怪物の真相を知ったカルヴィンには、もはや同じ景色には見えません。
氷山が増えているということは、北の氷がそれだけ崩れ、海へ流れ出していることでもあります。
カルヴィンの不安そうな表情は、「次の怪物が来る」という恐怖だけでなく、町と海を取り巻く環境が今後さらに変化することへの警告を表しています。制作者は全6話で物語は完結しており、この結末も続編の予告ではないと説明しています。
シーズン2につながる結末なのか
『BELOW/ビロウ』は、全6話のリミテッドシリーズとして制作されています。
多数の氷山が現れる終わり方なので、シーズン2への布石にも見えます。しかし、制作者は今回の6話で一つの物語は完成していると説明しています。
再び登場人物を描く余地まで否定してはいませんが、ラストの目的は「次の怪物が現れる」と予告することではありません。
一つの脅威を退けても、温暖化や資源開発、漁業の衰退といった根本的な問題は終わらない。その現実を残すための結末と考えるのが自然です。
怪物とカルヴィンは似た存在だった
本作では、怪物とカルヴィンが対照的でありながら、よく似た存在として描かれています。
カルヴィンは衰退する漁村に残り、家族と故郷を守ろうとします。一方の怪物も、生息地を追われながら卵を守り続けています。
最初は怪物を恐れていたカルヴィンですが、最後には、両者が外部の力に生活を脅かされながら子供を守ろうとしている点で同じだと気づきます。
怪物は倒すべき悪ではなく、町の人々より先に環境の変化から逃げてきた存在でした。
まとめ
『BELOW/ビロウ』の怪物は、北極圏の深海から流れ着いた巨大なイカ型の頭足類です。
氷山に見えた物体は怪物が作った卵の巣であり、怪物が船や人間を襲ったのも、卵を守るためでした。
カルヴィンは巣を沖へ運ぶことで町への空爆を防ぎますが、水温が高いため卵の孵化は難しく、怪物も繁殖後に力尽きる運命にあります。
ラストの多数の氷山は、すべてが怪物の巣だと確定したわけではありません。氷の融解と海の変化が今後も続き、一つの町を救っただけでは根本的な問題を止められないことを示しています。
怪物退治の物語に見えた『BELOW/ビロウ』は、故郷と家族を守ろうとする人間と生物を重ねた、気候変動と共同体の物語だったのです。