2026年9月11日公開の映画『5秒で完全犯罪を生成する方法』は、生成AIに犯罪の隠蔽方法を尋ねる兄妹を描いたクライムサスペンスです。
生成AIという身近な技術を扱うため、「実話をもとにした映画なの?」「モデルになった事件がある?」「AIの専門家が監修している?」と気になった人もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、本作は実話の映画化ではなく、岡田道尚さんが原案・脚本を手がけたオリジナル作品です。現時点で、モデルとなった特定の事件・人物・クリニックなども公表されていません。
『5秒で完全犯罪を生成する方法』は実話ではない
映画公式サイトや配給・劇場の作品情報では、本作について実話や実在事件をもとにした作品とは案内されていません。
脚本を担当したのは、『ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ』『マスカレード・ホテル』『#マンホール』などで知られる岡田道尚さんです。原案・脚本に加えてプロデュースも担当しています。
映画.comなどの作品紹介でも「岡田道尚によるオリジナル脚本」と明記されています。そのため、ノンフィクションや事件記録を再現した映画ではなく、生成AIが身近になった現代を背景に構想されたフィクションと考えるのが正確です。
モデルになった事件や人物はいる?
公開前に確認できる公式情報では、次のようなモデルは発表されていません。
- 兄・初海航と妹・幸来のモデルとなった実在人物
- 顧問教師が亡くなった事件のモデル
- 劇中の連続殺人に対応する実在事件
- トップ女優・七希のモデル
- 劇中に登場する生成AIのモデルとなった特定サービス
物語では、フリーライターの航が、意図せず教師を死なせてしまったという高校生の妹・幸来を守ろうとします。航は生成AIへ質問し、その回答に従って事件を隠蔽しようとしますが、やがて同じ手口の連続殺人が存在すると知らされます。
現実味のある設定ではありますが、「似た事件が過去にあった」という理由だけでモデルだと断定することはできません。制作側が明かしていない事件や人物を、憶測で結び付けないよう注意が必要です。
原作小説を映画化した作品でもない
本作には、映画公開より前の2026年9月4日に同名の書籍が発売されます。ただし、この本は映画の原作小説ではありません。
KADOKAWAの商品ページでは「シナリオブック」と案内されています。映画の脚本に加えて、場面写真、企画書、脚本制作時に試行錯誤したAI生成文、岡田道尚さんによる解説などを収録した本です。
書籍が先に発売されるため原作に見えますが、順序としては「本を映画化した」のではなく、映画の脚本と制作資料を書籍化したものです。
生成AIの専門家が監修している?
現時点で公表されているスタッフ情報には、生成AI監修、AI技術監修、科学監修といったクレジットは確認できません。
また、特定のAI企業が作品を監修した、実在する対話型AIの回答をそのまま劇中で使用した、AIに映画の脚本全体を書かせた、という公式発表も確認できませんでした。
一方、シナリオブックには「脚本執筆のために試行錯誤したAI生成文」が資料として収録されます。つまり、制作過程で生成AIを試したことは公式の商品説明から分かりますが、そのことと専門家による監修は別です。
記事公開時点では、次のように分けるのが適切です。
- 制作過程でAI生成文を試した:公式情報で確認できる
- AI専門家が監修した:確認できない
- 特定の生成AIサービスがモデル:確認できない
- AIが脚本全体を執筆した:そのような発表はない
なぜ実話のように感じられるのか
本作が現実に近く感じられる理由は、生成AIがすでに日常的な道具になっているからでしょう。
主人公は特別な犯罪組織の人物ではなくフリーライターで、スマートフォンからAIへ質問します。「困ったことを何でもAIへ聞く」という日常的な行動が、犯罪サスペンスへ接続される設定です。
ただし、映画の劇中AIと現実の生成AIが同じ動作をするとは限りません。実在サービスには有害な依頼への安全対策があり、回答内容も正しいとは限りません。本作は生成AIの操作方法を紹介する作品ではなく、人間がAIの回答を信じて選択する怖さを描いたフィクションとして見る必要があります。
まとめ
映画『5秒で完全犯罪を生成する方法』は、実話や実在事件を映画化した作品ではありません。岡田道尚さんによるオリジナル脚本で、モデルとなった事件・人物・AIサービスも公表されていません。
制作時にAI生成文を試したことはシナリオブックの商品説明から確認できますが、生成AI専門家の監修や、AIによる脚本執筆が行われたとは発表されていません。
公開後にパンフレットやエンドクレジット、制作者インタビューで新しい情報が判明した場合は、「AIを制作にどう利用したか」と「専門家監修の有無」を分けて追記するとよいでしょう。
