【極悪女王】”疑惑の判定”悪徳レフリーの阿部四郎は実在した?

9月19日からNetflixで配信が開始され、大好評配信中ドラマ『極悪女王』。

1970〜80年代の女子プロレスの隆盛期を背景に、”最恐ヒール”として知られるダンプ松本さんの知られざる物語を描いています。

そこで出てくる、音尾琢真さん演じる悪徳レフリー阿部四郎

ヒール役の「極悪同盟」に有利な判定をし、観客や相手レスラーから抗議を受けても知らんふり。

そんなレフリーが本当にいたの?と思った方も多いのではないでしょうか?

ということで、阿部四郎さんについてまとめてみました!

阿部四郎は実在の人物

まず、結論から言いますと、阿部四郎さんは実際に存在したレフリーです。

しかも、本当にドラマで描かれていたように「極悪同盟」に加担し、数々の不公正なレフェリングを行なっていました。

どのような判定をしていた?

度重なるコミッショナーへの注意・警告を受けながらも、阿部四郎氏は極悪同盟に対して加担し、以下のような行為を繰り返していました。

  • 極悪同盟側が行う反則行為を、一切見ていなかったことにして黙認する
  • 反則を指摘して注意する選手に対し、理不尽で不可解な反則カウントを取る
  • 「死角」となる対角線のコーナーで、反則攻撃を継続させる
  • 寝技でサードロープにエスケープした選手に対し、選手の足を蹴ってロープから外してしまう
  • 極悪同盟側がフォールされた時は、非常に遅い速度でカウントを取る
  • 逆に極悪同盟側がフォールに入った場合は、素早くカウントを取る

などなど、極悪同盟に対し、徹底的なひいきをするという悪徳レフリーとして名を馳せていました。

極悪同盟とおそろいのコスチュームで一緒に現れたりと当時人気絶頂期にあったクラッシュギャルズを始めとするベビーフェイス勢を長年にわたって苦しめました。

当時、男子団体レフェリーのジョー樋口・ミスター高橋なども反則行為を見てない振りをして観客をヒートさせるなどしていたが、ヒール寄りのレフェリングは男女通じて阿部氏が初めての存在でした。

周りの反応は?

そんなことをして、反感は買わなかったの?という疑問が出てきますが、もちろん会場からは罵声や「帰れコール」が飛び交い、混乱を招くこともしょっちゅうだったようです。

ただ、リング上では反感を買っていた阿部氏でしたが、周囲の関係者からの評判は高く、選手の皆さんも口々に「優しい人だった」と語っています。

このことからも悪徳レフリーの姿は、あくまでもエンターテイメントで、実際の阿部氏は、周りから好かれる優しいお人柄だったようです。

また、阿部氏の悪行で余りにも卑劣過ぎるレフェリングぶりに対して、実況席から痛烈に批判し続けたアナウンサーの志生野温夫氏とも旧知の仲であり、古いお付き合いだったそう。

※阿部氏の目に余るレフェリングぶりを指摘して「阿部四郎、何をしているか!」「阿部四郎のレフェリングはおかしい!」「阿部四郎のレフェリングに対して観客席からもブーイングが飛んでおります!」など、放送席から叱責したこともあった。

その後は?

1998年に一度引退、その4年後の2002年にダンプ松本さんから声が掛かりレフリーに復帰。2005年に全女が倒産してからは、『IWA JAPAN』などでレフリーを続けています。

その後、2009年7月、新宿FACEで行われた「NOSAWA-BON-BA-YE 5」の、クラッシュギャルズ25周年メモリアルマッチ・長与みのる&ライオネス高山VSダンプ菊&ブル坂井の試合をもってレフェリーを引退しています。

全女のレフリーを始めてからちょうど40年の節目の年でした。

その後は、芸能プロダクションと並行して立川駅前でスナックを経営していたといいます。

また、引退後のインタビューで、悪徳レフリー時代のギャラはもらっていなかったこと(それどころか交通費なども自腹だったこと)、全女の借金の保証人になっていたこと、そのせいで自宅を手放すことになったことなどを暴露しています。

阿部四郎さんの現在は?

阿部氏は、2017年4月に肺炎のため、76歳で死去しています。

阿部氏の死後のインタビューで、ブル中野さんは「本当に優しい方でした」と語り、選手時代の宿敵でもあった長与千種さんは、阿部氏の死を聞かされた時はショックのあまり「同じ時代を生きた方で、言葉にできません…」と絶句したといいます。

長年の親友同士だったダンプ松本さんは「阿部ちゃんは今でも私にとっては、大切な仲間の1人」と自身のブログ内やインタビューなどで語っていて、本当に人柄の良い人だったことが分かります。

また、阿部氏には、阿部信輔さんという息子さんがおり、ZERO1-MAXのメインレフリーを務め、お父さんとは異なる公平で正統派なレフェリングです。

親子2代でレフリー、しかも父は悪徳レフリー、息子は正統派レフリーというのもおもしろいですね。

バラエティー番組でのパロディ

現在、30~40代位の年代の方は、バラエティー番組でのパロディで知ったという人も多いのではないでしょうか。

阿部氏は、「めちゃ×2イケてるッ!」の「格闘女神MECHA」コーナーで、岡村隆史さんが「阿部四郎」に扮するレフェリーである『岡村四郎』のモデルにもなっていることでも有名です。

極楽とんぼが扮する「極楽同盟」と現役女子プロレスラーとのタッグ対決では本人が登場して、当時と変わらぬ極楽同盟贔屓のレフェリングを披露しています。

また、2014年5月31日放送の「めちゃイケ」では、9年ぶりに行われた『めちゃ日本女子プロレス』のメインイベントである新・極楽同盟の試合でも、久々にレフリーとして登場しています。

まとめ

プロレス史に名を残す「悪徳レフリー」阿部四郎氏の実像と残した影響は、単なる悪役以上の深みを持っていました。

極悪同盟に加担し、数々の不公正な判定で観客の怒りを買う一方で、関係者からは人柄の良さを評価されるなどその存在感は現在にまで及んでいます。

阿部氏の生涯は、プロレスの華やかな表舞台と、その裏で苦悩する人間模様を映し出す鏡となっているのです。

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