「さきさのばし」というアニメをご存じですか?
「さきさのばし」は、インターネットを通じて広まった謎めいたアニメで、実在が確認されていないにもかかわらず、多くの人がその内容や恐怖感を「体験した」と語る都市伝説的な作品です。
閉鎖空間で少女たちが追い詰められていく恐怖の物語というその不気味さは、「検索してはいけないアニメ」としても語り継がれています。
このアニメの目撃談や詳細な記憶はどこから生まれたのか?
それは「さきさのばし」の真実か、それとも人々がネット上で生み出した幻想か。
この記事では、作品の概要やあらすじ、ファンが語る目撃談、「創作物」かの考察など、謎に包まれた「さきさのばし」の全貌に迫ります。
「さきさのばし」の内容・設定
「さきさのばし」というアニメは、実際に見たことがあるとされる人の証言をもとに語られる、ミステリアスで不気味な作品です。
その内容や設定についてはインターネットで多くの噂が広まっているものの、視聴者はごく少数で、確実な記録が残っていないため、誰もが「本当に存在するのか?」と半信半疑で興味を抱いています。
内容として語られるのは、無機質で閉鎖的な部屋(おそらくトイレ)に複数の少女たちが閉じ込められているという設定です。
狭い部屋に閉じ込められた複数の少女たちは徐々に精神的に追い詰められ、自死するというショッキングな内容で、視聴者に強い心理的な恐怖を与えるとされています。
作中では少女たちが日本語で会話をし、そこに英語の字幕が挿入されているという奇妙な形式が取られており、まるで外国人のために編集されたのか?という印象も、不気味さをさらに引き立てています。
アニメ自体はおよそ30分ほどの短編に編集されており、エンドクレジットも一切ないため、誰が作成したのか、何のために作られたのか、詳細は一切不明。
このアニメは、一般的なホラー作品に見られるようなジャンプスケア(突然驚かせる演出)や派手なエフェクトは少なく、むしろ淡々と少女たちの心理状態の変化や、閉鎖的な空間に漂う異様な静寂が恐怖を引き立てるとされています。
日常的な会話の中に少しずつ異常な要素が混ざり、登場人物たちの内面が崩れていく様子が微妙に描かれることで、観ている者も次第に不安感に引き込まれるのだといいます。
また、閉鎖された空間の中で登場人物たちはお互いに疑心暗鬼となり、時には互いを疑い、あるいは非難し合う場面も描かれるとされており、状況が進むにつれて緊張感が高まっていく構成になっています。
しかし、証言によると作品には特定の「救い」も「答え」もないため、視聴後に後味の悪い不安感が残るという点も印象的です。
「さきさのばし」を見たとされる人々が語る内容は一貫して「とてもリアルで、しかし決して忘れることができない不気味な作品」という点で一致しており、単なるアニメの枠を超えて都市伝説としての魅力を放っています。
「さきさのばし」の噂の起源
「さきさのばし」に関する噂が最初に広がり始めたのは、2015年のことです。
海外の掲示板サイト「4chan」に立てられた「The most fucked up thing you’ve ever seen on the deep web(あなたが今までにディープウェブで見た一番ヤバいもの)」というスレッドで、あるユーザーがこのアニメについて語り始めたのがきっかけとされています。
そのユーザーによると、それはディープウェブ上で偶然見つけたアニメであり、閉鎖空間に閉じ込められた少女たちが精神的に追い詰められていく様子が淡々と描かれていたとされます。
作品の内容は非常にショッキングで、まるで「本物の映像」のようなリアルさがあり、見ているだけで強い不安感と絶望感に襲われたと語っています。
アニメの名前は「go for a punch」のようなタイトルだったそうですが、捜査していく中で、このアニメではないか?と「さきさのばし」の名前が挙げられました。
そこから「さきさのばし」というタイトルが瞬く間に広がっていき、その後、この話題は「4chan」以外のSNSや掲示板でも急速に拡散し、いくつもの憶測や考察が生まれることになりました。
一部では、さらに詳細なストーリーや追加の目撃談が付け加えられ、物語が拡張されることで「さきさのばし」の都市伝説としての魅力が増していったのです。
当初は「実際には存在しない作り話ではないか」とする意見も多くありましたが、その後も多くの人が「見たことがある」「記憶に残っている」と証言し始め、次第に「存在するかもしれない幻のアニメ」という立ち位置が確立されていったのです。
さらに、ディープウェブという通常ではアクセスが難しい場所で発見されたとされる点も、作品の不気味さや神秘性を一層引き立てる要因となりました。
「さきさのばし」は実在するのか?
「さきさのばし」が広まるにつれ、その作者や制作会社の存在が明らかになることを望むファンやインターネットコミュニティが調査を始めました。
一部のファンや調査者たちは、過去に制作されたインディーズアニメや短編ホラー作品の中に「さきさのばし」の起源があるのではないかと考え、類似した作品を探し出そうとしました。
しかし、数多くの証言や憶測が飛び交うものの、このアニメが実在するという具体的な情報は一切見つかっていません。
アニメ制作の歴史においても、公式な記録や制作会社の存在が確認されないことから、「さきさのばし」が本当に作られたのか、それともただの作り話なのかという疑問が深まります。
そんな中、2020年に突如として「go for a punch」の投稿者だと名乗る人物が4chanに現れ、「あの書き込みは作り話だった」と発言したのです。ただ、この人が元の書き込みをした本人であるかの証拠はないため、真偽のほどは分かっていません。
また、これが本人であったとして、「go for a punch」は作り話だったとしても「さきさのばし」というタイトルを挙げたのは別の人物だったため「さきさのばし」のほうは実在するという可能性もなくはありません。
- 「go for a punch」→作り話
- 「さきさのばし」→実在する?
「さきさのばし」を取り巻くコミュニティとファンダム
「さきさのばし」は、確証のない謎めいた存在であるにもかかわらず、その不気味さと都市伝説的な要素に魅了されたファンによって独自のファンダムが築かれています。
ファンアートと創作活動
「さきさのばし」にインスパイアされたファンアートが、インターネット上で多く見られるようになりました。
実際に映像を確認できないにもかかわらず、ファンは目撃談や噂を元にキャラクターやシーンを想像し、イラストや漫画として表現しています。
ファンアートには、狭い部屋に閉じ込められた少女たちが恐怖に震える様子や、物語の暗いトーンを表現したイラストなどが多く、作品の不気味な雰囲気を視覚的に再現しています。
さらに、YouTubeやTwitterでは、ファンが制作した「さきさのばし」関連のアニメーションや「実際にこの作品を視聴したらどのような内容なのか」を再現するファン動画も見られます。
「さきさのばし」に関するファンメイドの動画
「さきさのばし」に関するファンメイドの動画は、YouTube上でいくつか公開されています。以下に代表的なものをご紹介します。
「Saki Sanobashi [さきさのばし] OVA OP」
この動画は、ファンが「さきさのばし」のオープニングを再現したもので、作品の雰囲気を感じ取ることができます。
「さきさのばし saki sanobashi」
この動画は、ファンが自身のアニメーションとして制作したもので、オリジナルの「さきさのばし」を探している人々に向けて作成されています。
「(RadioAnimation) – REUPLOAD Saki Sanobashi Go for a Punch さきさのばしSaki Sanobashi Recreation NOT MINE」
こちらは、RadioAnimationによる「さきさのばし」の再現アニメーションの再アップロード版です。
マンデラ効果の可能性
様々な憶測が飛び交う「さきさのばし」ですが、個人的には「マンデラ効果」のようなものではないかと考えています。
マンデラ効果とは、多くの人がある出来事を同じように記憶しているが、実際にはその出来事が起こっていなかった、または異なる内容であった、という集団的な虚偽記憶現象です。
「さきさのばし」のケースでは、多くの人が「幻のアニメを見た」と主張し、その内容や場面について共通の記憶を語り合っていますが、実際の映像や作品が確認されていないため、マンデラ効果の一例として考えられる可能性が高いと思います。
根拠としては以下。
1. 共通記憶の形成と拡散
「さきさのばし」の噂は、2015年の4chanでのスレッドをきっかけに広がり始めました。
この掲示板で語られた内容がきっかけとなり、閉鎖空間や「Go for a Punch」というフレーズなど、具体的な内容が記憶に刷り込まれたのです。
このように、インターネットのコミュニティでは「アニメの内容」を見たことがない人も共有することで共通記憶が形成されやすくなります。
この現象がマンデラ効果に似ている点は、集団的な認識の共有によって、あたかも実在するかのように記憶が作られていることです。
インターネット上で語られた「さきさのばし」を見たことがあると主張する人々の記憶や証言が蓄積されることで、その記憶が一種の「現実」として確立され、集団的な虚偽記憶として位置づけられたのではないでしょうか。
2. 記憶の改ざんと「信憑性」
マンデラ効果の本質は、人の記憶が容易に外部からの影響で改ざんされる点にあります。
「さきさのばし」の場合、ディープウェブで見つかった、誰かが恐怖体験をした、という語り口によって多くの人が「本当に存在するもの」として信じ込んでいます。
また、人々は作品の不気味な特徴に基づき、視聴後の影響や感想を語り合うことで、より一層その記憶に信憑性を持たせているのです。このような自己強化的な記憶形成も、マンデラ効果の特徴と共通しています。
3. 都市伝説の一種としてのマンデラ効果
マンデラ効果は、都市伝説が形成される過程とも重なります。
多くの人が語る「見たことのあるアニメ」が事実であるかのように錯覚され、語られ続けることで現実と虚構の境目が曖昧になる点は、都市伝説と類似しています。
多くのファンが「さきさのばし」を実際に見たと主張し、その証言や内容が語り継がれている状況は、マンデラ効果と都市伝説が交わる象徴的な例です。
まとめ
「さきさのばし」は、インターネット上で語り継がれた虚実の境界が曖昧な都市伝説であり、多くの人がその存在を信じ、恐怖と魅力に囚われています。
作品の実在が確認されない中、ファンによる記憶や考察、創作がネット社会での都市伝説を形成し続け、この現象は、マンデラ効果が示すような集団的虚偽記憶の一例とも言え、デジタル時代の特性を象徴しています。
「さきさのばし」は、実在を超えて人々の想像と共に成長し、インターネット上の都市伝説として永遠に語り継がれていくでしょう。