『デッドプール』(2016年)は、マーベル・コミックスの同名キャラクターを基にしたアクション・コメディ映画です。
デッドプールは、従来のスーパーヒーロー映画とは異なり、破天荒なユーモアやブラックジョーク、第四の壁を破る演出(観客に直接話しかける)などが特徴で、他のキャラクターや映画のパロディも多く含まれています。このユニークなスタイルが評価され、批評家と観客の双方から高い評価を得ました。
基本情報
監督 | ティム・ミラー |
主要キャスト | ライアン・レイノルズ( デッドプール役) モリーナ・バッカリン(ヴァネッサ役) エド・スクライン(エイジャックス役) T・J・ミラー(ウィーゼル役) ジーナ・カラーノ(エンジェル・ダスト役) |
公開年 | 2016年 |
製作費 | 約5800万ドル |
興行収入 | 約7億8250万ドル |
配信サービス | Disney+ ※Disney+以外もアプリ内課金にて配信多数有り |
前提知識1
デッドプールというキャラクターは過去に「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」(2009年)にも登場していますが、設定やキャラクターの描写が大きく異なるため、直接的な関連は少ないです。
「デッドプール」(2016年)では、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」のデッドプールの描写を無視し、新たにキャラクターを再定義しています。このため、本作は一種のリブートとして扱われ、独自の設定とストーリーを持っています。
しかし、どちらの映画でもライアン・レイノルズがデッドプールを演じている点や、本作で過去の失敗をユーモラスに取り上げているシーンがあるなど、ある種の繋がりを感じることができます。
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前提知識2
デッドプールの世界はX-MENの世界と関連していますが、直接的な関係は薄いです。
映画にはコロッサス(X-MENのメンバー)などが登場し、X-MENの世界観についての言及もありますが、事前にシリーズを見ていなくても楽しめます。
あらすじ
ウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)は、元スペシャルフォースの兵士で、現在はニューヨークで活動する傭兵です。彼はバーテンダーのヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)と出会い、互いに深く愛し合うようになります。しかし、ウェイドは突然末期がんと診断され、絶望に陥ります。
ある日、ウェイドは謎のエージェントから「ウェポンXプログラム」の一環として治療を受ける提案を受けます。最初は拒否しますが、ヴァネッサを残して死にたくないという思いから、最終的に治療を受けることにします。
治療を受けるために連れて行かれた施設で、ウェイドはエイジャックス(エド・スクライン)とエンジェル・ダスト(ジーナ・カラーノ)により拷問され、超人的な治癒能力を引き出されます。しかし、この治療には副作用があり、ウェイドの外見はひどく変形してしまいます。
ウェイドは自分の醜い姿をヴァネッサに見せられず、彼女の元を去ります。そして、「デッドプール」と名乗り、自分を改造したエイジャックスに復讐することを誓います。デッドプールはエイジャックスを追い詰める中で、多くの敵を倒し、ユーモラスなやり取りやブラックジョークを交えながら進んでいきます。
その過程で、デッドプールはX-MENのメンバーであるコロッサス(ステファン・カピチッチの声、アンドレ・トリコーテックスのモーションキャプチャー)とネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド(ブリアナ・ヒルデブランド)に出会い、彼らの助けを借りることになります。
最終的に、エイジャックスはヴァネッサを誘拐し、ウェイドをおびき寄せます。クライマックスでは、廃棄された空母の残骸で壮絶な戦いが繰り広げられます。デッドプールはエイジャックスを倒し、ヴァネッサと再会します。ヴァネッサはウェイドの変わった外見を受け入れ、二人は再び一緒になります。
おまけエピソード
ライアン・レイノルズの献身
主演のライアン・レイノルズは、映画の実現のために自身の報酬を諦め、脚本家のレット・リースとポール・ワーニックを撮影現場に帯同させるために、自腹を切ったことが知られています。
スタジオは彼らを現場に呼ぶ予算を出していなかったため、ライアンがポケットマネーから支払い、事実上の脚本家ルームを用意しました。
脚本への関与
ライアン・レイノルズは脚本にも関与しており、公開当時はクレジットされていなかったものの、続編の『デッドプール2』では正式に共同脚本として参加しています。
このことからも彼がプロジェクトに対して強い思い入れがあったことが分かります。
低予算での成功
『デッドプール』は5800万ドルの予算で製作されましたが、世界興行収入は7億8280万ドルを超え、大ヒットを記録しました。このことは、低予算であってもキャラクターやストーリーに焦点を当てることで、成功する映画を作ることができるという教訓を映画業界に与えました。
R指定映画の成功
『デッドプール』はR指定映画として、過激な描写を含む作品でありながら、世界興行収入で7億8280万ドルを超える大ヒットを記録しました。
これにより、R指定映画でも商業的に成功する可能性があることが示され、他のスタジオや製作者が同様のアプローチを取ることを促しました。
まとめ
『デッドプール』(2016年)は、ユーモアとアクションが融合したエンターテインメント性の高い作品です。
ライアン・レイノルズの卓越した演技と革新的な演出により、スーパーヒーロー映画の新しい可能性を切り開きました。
従来の枠にとらわれない自由な表現と、観客を笑わせ、感動させる力を持つ本作は、スーパーヒーロー映画ファンだけでなく、多くの人々に愛される作品となっています。
続編の「デッドプール2」のあらすじなどを解説した記事はこちら

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